メニュー

健康診断で「異常」と言われた方へ〜実は“64%が引っかかる”健診の仕組み〜

[2026.05.05]

はじめに

健康診断で「異常」「要経過観察」と書かれて、不安になった経験はないでしょうか。

実は、健康診断にはあまり知られていない“仕組み”があります。複数の検査項目を行った場合、健康な人であっても約64%が少なくとも1項目で基準値を外れるとされています。

つまり、健康診断は構造的に「引っかかる人が出る検査」とも言えます。
この仕組みを知らないまま結果を見ると、本来そこまで心配しなくてもよい数値に過度な不安を感じてしまいます。

本記事では、健康診断の結果をどのように理解すべきかを、実際の現場の視点も踏まえて分かりやすく解説します。
あわせて、あまり知られていない健診の見落とされがちなポイントについて整理していきます。


ポイント① 基準値は「正常と異常の境界」ではない

健康診断で示される基準値は、一般的に健康と考えられる集団のうち約95%が収まる範囲として設定されています。

言い換えると、健康な人でも約5%は基準値から外れることになります。この範囲はあくまで統計的な目安であり、「ここを超えたら病気」という明確な境界ではありません。

実際の診療では、数値が基準値をわずかに超えただけで直ちに治療対象になることはほとんどなく、その背景や前後の変化を見て判断します。例えば、肝機能や血糖値なども、前日の飲酒や食事、体調によって変動することは珍しくありません。

そのため、単一の検査結果だけで過度に心配するのではなく、「どの程度外れているのか」「他の項目との関連はどうか」を含めて総合的に見ることが重要です。

ポイント② 検査項目が増えるほど「異常」は増える

健康診断では血液検査、尿検査、心電図、画像検査など、複数の項目を同時に評価します。

一つ一つの検査では、基準値から外れる人は限られますが、項目が増えるほど「どれか一つは外れる」確率が上がります。これが、健康な人でも異常が指摘されやすくなる理由です。

実際に、20項目程度の検査を行うと、約60%以上の人が少なくとも1項目で基準値を外れるとされています。つまり、何か一つ引っかかること自体は珍しいことではなく、検査の構造上ある程度想定されている結果とも言えます。

この点を理解していないと、「一つ引っかかった=何か重大な病気ではないか」と必要以上に不安を感じてしまう原因になります。

ポイント③ 「経過観察」は判断を委ねている

健診結果でよく見られる「経過観察」という判定は、非常に曖昧に感じられる言葉です。

一般的には、現時点で直ちに精密検査や治療が必要とまでは言えないものの、今後の変化には注意が必要な状態を意味します。言い換えると、「すぐに受診が必要とは限らないが、完全に問題がないとも言い切れない状態」です。

そのため、経過観察という表現には、最終的な受診の判断を受診者に委ねている側面があります。医療機関としては安全性を担保しつつも、過剰な受診を避けるためのバランスの取れた表現とも言えます。

ただし、過去と比較して明らかに悪化している場合や、自覚症状がある場合には、早めに医療機関で確認することが望ましいでしょう。

ポイント④ 検査結果は施設によって変わる

検査結果は一見すると客観的な数値に見えますが、完全に一定ではありません。

採血の方法、測定機器、分析方法の違いによって、同じ人でも数値が変動することがあります。実際の臨床現場でも、検査施設が変わることで数値に差が出るケースは珍しくありません。

そのため、基準値をわずかに外れた場合には、その数値が本当に体の変化を反映しているのか、それとも測定条件による差なのかを見極める必要があります。

こうした背景から、健康診断は毎年同じ施設で受け、同じ条件で比較していくことが非常に重要になります。

ポイント⑤ 基準値は「誰のデータ」なのか

健康診断で用いられる基準値は、特定の集団から得られたデータをもとに設定されています。

多くの場合、比較的若く健康な人のデータが中心となっていることもあり、すべての年代や体質に完全に当てはまるわけではありません。本来であれば年齢や背景ごとに細かく基準値を設定することが理想ですが、実際にはそこまで細分化することは難しく、共通の基準値が用いられています。

そのため、高齢の方や体格・生活習慣が異なる方では、基準値から外れやすくなることもあり、その結果をそのまま異常と判断することには注意が必要です。

ポイント⑥ 病気は0か100ではない

健康診断では基準値を境に正常と異常が区別されますが、実際の体の状態はそのように明確に二分化されるものではありません。

血圧や血糖値、腎機能などは、徐々に変化していく中でリスクが増減していきます。基準値をわずかに超えたからといって急に状態が悪化するわけではなく、逆に基準値内であっても上昇傾向が続いている場合には注意が必要です。

そのため、単一の数値ではなく、時間の経過に伴う変化を見ていくことが、健康管理において非常に重要になります。

終わりに

健康診断や人間ドックは、自分の体の状態を知るための大切な機会です。

一方で、その結果は仕組み上、健康な人でも一定の割合で異常が指摘されることがあります。約64%の人が何らかの項目で基準値を外れる可能性があるという事実は、その代表的な例といえるでしょう。

大切なのは、結果に一喜一憂するのではなく、その意味を正しく理解し、自分の変化を継続的に見ていくことです。

大宮エヴァグリーンクリニックでは、さいたま市の健康診断をはじめ、企業様の健康診断や人間ドックをおこなっております。
健康診断後の結果のご相談にも対応しております。

結果の見方に迷われた際には、どうぞお気軽に当院までご相談ください。

この記事を執筆した人
伊勢呂哲也
伊勢呂哲也

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。

 

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME