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亜鉛欠乏症について

[2019.07.24]

こんにちは。ようやく梅雨も明け、徐々に熱くなり、本格的な夏が始まりそうな気がしますね。以前の記事でも書きましたが、熱中症の予防をし、体力をつけてこの夏を乗り切りましょう。

 

さて、先日当院検査室にて亜鉛欠乏症の治療薬についての勉強会を行いました。以下に勉強会の概略を示したいと思います。

 

亜鉛の役割とは

亜鉛は体内における必須微量元素の一つです。高校生の時に元素記号で覚えた記憶がある方も多いと思います。亜鉛は脳神経系、消化器系、循環器系、内分泌系、栄養代謝のシグナル伝達に携わり、体内で欠かせない非常に大切な役割を担っています。

亜鉛には精神・行動への影響、味覚の維持、免疫系の調節、皮膚代謝など様々な役割があります。亜鉛が欠乏するとこれらに異常をきたします。

例えば、ご高齢の方で十分な栄養が摂れなくなって味覚障害や皮膚障害が起きたりしている場合、亜鉛が不足している場合があります。そのことに気づかずに採血で亜鉛を確認せずに誤まったアプローチで治療を続けていても患者様の症状は改善しません。そのような症例が日常診療で非常に多く見られていると実感してます。亜鉛欠乏で治療を受けている方はわかっているだけでも24万人もいます。そして治療を受けていない潜在的な患者様の数はそれの何倍も多いと思われます。

亜鉛を含む食品、亜鉛の吸収

亜鉛の吸収部位は主に十二指腸と空腸で、亜鉛の吸収は摂る食事に影響を受けます。吸収を阻害する例が、コーヒーやアルコールで、吸収を促進する例が肉類やビタミンCです。亜鉛を多く含む食品は牡蠣、納豆、レバーです。

 

亜鉛不足の原因、症状

亜鉛不足の原因には、①単純に亜鉛の摂取不足(人工栄養や亜鉛の低含有食品の摂取)、②亜鉛の吸収障害、③体内の亜鉛の需要が増える(妊婦や授乳婦)、④亜鉛排泄の増加(低アルブミン血症)などがあげられます。

肝疾患、腎不全、褥瘡、炎症性腸疾患などに合併して、低亜鉛状態が引き起こされることもあります。

亜鉛不足の症状は元気がない、口内炎、皮膚炎、味覚障害、脱毛、貧血、傷の創傷遅延、などがあります。

亜鉛欠乏症の治療

亜鉛不足の症状があり、採血にて亜鉛欠乏が判明した場合、亜鉛製剤の内服が必要です。亜鉛製剤の内服で症状が改善する患者様はたくさんいらっしゃいます。

ご家族の方が味覚障害や皮膚炎、脱毛、口内炎などの症状が見られた場合、主治医の先生に亜鉛の採血をお願いしてみてはどうでしょうか。潜在的な患者様が多いと言われている亜鉛欠乏症に悩む患者様の症状を改善するためにはまず疑うことが必要だと思います。今回の勉強会を通じて改めて亜鉛欠乏症の勉強をさせていただき大変良い機会になりました。亜鉛欠乏に限らず、疾患の引き出しを多く作っていることが患者様の病態を適切に解明することに必要だと再確認しました。

 

消化器科・胃腸科・内科・泌尿器科・人間ドック

大宮エヴァグリーンクリニック 院長 伊勢呂哲也

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