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再生医療とは?最先端のアンチエイジング・美肌治療法

[2023.04.14]

再生医療とは

再生医療と聞くとどのようなイメージをお持ちでしょうか?
実は日本は再生医療において一番進んでいる国です。2012年に京都大学の山中教授が世
界で初めてiPS細胞の作製に成功し、2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞しました。そこから一気に日本では再生医療が注目をあび、どんどん臨床研究も進んでいます。
再生医療とは事故や大きなけが、難病で失ってしまった細胞や組織を自分、もしくは他の人由来の細胞で再生させる治療のことをいいます。この記事では再生医療の中でも特に肌再生医療について詳しく解説シていきたいと思います。

幹細胞について

私たちの体は約60兆個の細胞で成り立っています。細胞の始まりは受精卵から始まります。受精卵が細胞分裂を繰り返し、皮膚の細胞や肝臓の細胞、血液の細胞などに分化していきます。いろいろな細胞に変化していくことを分化といいます。分化していく中で幹細胞という細胞もできあがります。幹細胞の定義は「自己複製能と多分化能を持つ細胞」です。分かりやすく説明すると「自分とまったく同じ能力を持った細胞を作り出す能力を自己複製能」「血液系の細胞、神経系の細胞や皮膚の細胞など私たちのからだを作る様々な細胞に分化することができる能力を多分化能」といいます。
再生医療にもいろいろありますが、自分のからだから細胞を採取し、それを再びからだに投与する幹細胞治療が再生医療の主な治療です。
再生医療にはこの「幹細胞」がとても大切な細胞となっています。

幹細胞の種類

Portrait of sensual woman in DNA chains.

幹細胞にはいくつかの種類がありますが、代表的なものにES細胞、iPS細胞、体性幹細胞があります。では、それぞれの細胞はどのような能力があるのか説明していきます。

 ES細胞

ES細胞(胚性幹細胞)は将来、赤ちゃんになるはずである受精卵から分化した細胞を使い、あらゆる細胞に分化できる能力を維持することができるようにした多能性幹細胞です。

 iPS細胞

iPS細胞(人工多能性幹細胞)は皮膚細胞などの体の細胞を取り出し、そこに人工的に4つの遺伝子を加えて培養することによって、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力を持つ多能性幹細胞であり、iPS細胞は世界で一番研究が進んでいます。
ひとつ例を取りますと、視野が急速に失われてしまう滲出型加齢黄斑変性症という病気があります。視力低下が進行し、治療が難しい目の病気です。iPS細胞発見で山中教授がノーベル賞を受賞した2年後の2014年に、日本で滲出型加齢黄斑変性症の患者さんに、患者さん自身のiPS細胞由来の網膜色素上皮(RPE)細胞のシートを移植する世界初の手術が行われ、成功をおさめました。現在ではパーキンソン病、心不全、心筋症、網膜色素変性、卵巣がんなどの多くの疾患で臨床試験が進行中です。

体性幹細胞

体性幹細胞はES細胞やiPS細胞からもっと分化がすすんだ段階の細胞です。体性幹細胞には造血幹細胞、神経幹細胞、間葉系幹細胞などある程度分化の方向が定まっている細胞のことをいいます。ES細胞やiPS細胞ほどの多分化能は持っていませんが、間葉系幹細胞については神経や筋肉、脂肪、骨などに分化する能力があります。体性幹細胞は大きな可能性を持っており、次の項目で詳しく説明させていただきます。

注目の間葉系幹細胞治療

体性幹細胞の中では間葉系幹細胞治療が注目を集めており、すでに多くの疾患に対して治療が行われている比較的歴史のある治療です。間葉系由来幹細胞は自己複製能、多分化能という2つの能力を持つだけでなく、ホーミング効果とパラクイン作用を持ち、これが傷ついた組織や老化した細胞を修復するのに大きな役割を果たしています。それではその「ホーミング効果」と「パラクイン作用」について説明していきます。

ホーミング効果とパラクイン作用とは

自分から採取した幹細胞を点滴投与や局所投与に使用すると、幹細胞は血流に乗って体の中でSOSが出ていたり、傷ついたところに自然とたどり着きます。この現象をホーミング効果といいます。たどり着いた間葉系由来幹細胞が近くの細胞に作用したり働きかけることをパラクイン作用といいます。間葉系由来幹細胞がそこでエクソソームや成長因子などのサイトカインを放出し、抗酸化作用、抗炎症作用、血管新生、細胞や組織の修復作用など様々な働きを発揮します。またそこで死んでしまった細胞や弱った細胞に新しい間葉系幹細胞が置き換わり、臨機応変にいろいろな細胞に分化します。

ホーミング効果とパラクイン作用の臨床での効果

例えば肝硬変の患者さんに間葉系幹細胞点滴を行うとホーミング効果で肝臓に辿り着き、肝細胞に分化して肝臓が再生していきます。
また、脊髄損傷を患っている患者さんへの効果も認められています。脊髄は脳から腰に伸びる神経細胞の連続ですが、交通事故やスポーツ事故で脊髄にダメージを受け、ダメージを受けた脊髄よりも遠い脊髄が支配する筋肉や神経が麻痺してしまい、感覚障害や歩行障害などの後遺症が残ってしまう病気です。ダメージを受けた脊髄は残念ながら元に戻りません。
脊髄損傷の患者さんに間葉系由来幹細胞を点滴するとダメージを受けた脊髄に幹細胞がたどり着き、エクソソームをたくさん放出し、脊髄を修復するように働きかけます。また幹細胞自体がダメージを受けた神経細胞に置き換わり、脊髄を再生するように働きます。何週間かすると患者さんが徐々に感覚が戻ったり、歩行ができるようになったという事例もあります。保険診療では治すことができなかった病気が再生医療によって少しでも改善するのです。日本では脊髄損傷に対して条件を満たせば保険適応でこの間葉系由来幹細胞治療を受けることができます。

身近なクリニックでの再生医療の取り入れ方

間葉系由来幹細胞治療を受けるとお肌のはりが出たり、関節の修復が起こり痛みがなくなるため以前よりも長い距離を歩きやすくなったり、よく眠れるようになったり、お体全体の再生が期待できます。よって美容クリニックや自費を取り入れているクリニックでは若がえりやアンチエイジングを目的とした間葉系由来幹細胞治療を取り入れているところが増えてきました。

脂肪由来幹細胞治療

間葉系由来幹細胞は骨髄、歯髄、脂肪、臍帯などから採ることができます。
以前は骨髄から採られていましたが、脂肪からも多くの幹細胞が採取できることがわかりました。骨髄から細胞を採るのは痛みを伴いますし、数が限られています。脂肪は皮膚のすぐ下にあるもので比較的簡単に採ることができます。そのため現在美容クリニックなどで行われている間葉系由来幹細胞治療は自分の脂肪を採取してそこから幹細胞を分離する方法が主流です。幹細胞を分離して5,6週間培養し(細胞を増やし)1億個に増やしそれを自分に点滴します。細胞を採るのも点滴も日帰りでできますし、あっという間に終わります。これでお体が再生する、若返ることができるというとても画期的な治療です。

脂肪由来幹細胞治療のデメリット

ただしこの治療はデメリットもあります。特にすでに元気な方でアンチエイジング目的の方だと若返った効果の実感がわかない方もいます。また、細胞の培養にとても手間がかかりますし、この治療はどのクリニックでもできるわけではなく、再生医療計画書が厚生労働省に受理され、高額な申請費を支払ったクリニックのみでしか治療ができないことから1回の点滴で300万円ほど相場でかかってしまいます。高額な値段であることが、誰でも気軽に受けることができない1番の理由となっています。

エクソソーム治療について

そんな方に良いニュースです。さきほど幹細胞自体がエクソソームを放出して細胞の修復を促す作用があるとご説明しましたが、このエクソソームの作用がわかってきたのは実はこの20年の話です。それまでは幹細胞を培養する過程でまわりの浮かんでいるゴミとして思われて、破棄されていました。しかし研究がすすみ、エクソソーム自体が幹細胞の働きに多く貢献していることがわかり、最近ではエクソソーム治療が大変話題の治療となっております。
体に点滴すると老化した細胞や傷ついた組織を修復する作用が働くので慢性的な痛み・疲労感・しびれ・不眠・お肌の老化・薄毛に効果があります。幹細胞ほどの万能さは持っていませんが、1回で効果を感じる方もいらっしゃる一方、複数回の点滴が必要な方もいらっしゃり個人差があります。お値段の相場は1回の点滴で5~30万と幅がありますが、幹細胞点滴にくらべてお値段がお手軽なことからアンチエイジングのために長く自分のペースで点滴を続けたいという方に大変人気な治療となっています。先日「カズレーザーと学ぶ」というテレビで特集されたこともあり注目は更に集まっています。
お顔や首の老化が気になっている方は、直接エクソソームを注入するのがおすすめです。お肌のはり、つやが出ます。

お顔の肌再生医療

今まで主にお体の再生医療の話をしてきましたが、お顔の再生医療もあります。
お顔の肌再生医療にも種類がたくさんありますが、その中の一部を紹介していきます。

お顔の老化の仕組み

お顔はなぜ老化するのでしょう。なぜしわ・たるみが出てくるのでしょう。
それは年を取るにつれて皮膚に存在する肌細胞(線維芽細胞や幹細胞)の数が減ってきてしまうからです。線維芽細胞は皮膚のはり・つやを維持するためのヒアルロン酸やコラーゲン、エラスチンを作り出す細胞です。長年、紫外線の影響を受けることでも線維芽細胞の数は減り、質も落ちてしまいます。この線維芽細胞が減ると肌のはりを維持するために大切なヒアルロン酸やコラーゲンが少なくなりお肌は老化してしまうのです。

線維芽細胞治療

お肌の再生医療ではこの線維芽細胞、幹細胞をお顔に約1億個移植します。そうするとお肌に定着した新しい線維芽細胞がヒアルロン酸やコラーゲンを作り始め、たるみやしわが改善していくのです。
線維芽細胞が不足した状態の皮膚にレーザーやダーマペンなど他の美容施術を施行しても十分な効果が得られないことがあります。なぜならコラーゲンなどを作り出す細胞が故障、不足しているので、残念ながらそこにどんなに刺激を加えても効果は出にくいのです。
足りなくなった線維芽細胞を自分の線維芽細胞で補う、これこそが皮膚の老化の根本治療です。他の美容施術にはかなわない根本的治療と言うことができます。

まとめ

今回は再生医療のことをお話しさせていただきました。
再生医療は治療対象が多岐にわたり、様々な疾患に対する治療が期待されている分野といえます。まだ研究段階のものもありますが、すでに治療に取り入れられている再生医療も多く、私たちの身近なものとなってきています。再生医療は未来の話ではなく、今現在の話なのです。
今回の説明で大きな可能性を持っている再生医療の魅力が少しでもお分かりいただければ嬉しいです。

院長 伊勢呂哲也

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