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大腸がんの症状・リスク・検査・治療について

近年、大腸がんは増加傾向にあり、胃がん・肺がんを超えて、日本で一番罹患率の高いがんとなっています。大腸がんを発症する人は毎年約8万人前後とも言われ、50代以降の方に多いがんでした。このようにお話しすると『大腸がんは中高年からのがん』と思う方もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。実は20~30代から、大腸がんに深く関連している大腸ポリープが増えており、気づかずに放置すれば大腸がんへと進行するケースもあります。しかし、幸いにも大腸ポリープも大腸がんも早期発見できれば、治療することができます。そのためには検査を定期的に行うことが重要です。この記事では、大腸がんと大腸ポリープのそれぞれの病態と関連性について詳しく解説させていただきます。

大腸がんとは

大腸の働き

私たちが口から食べた物は、胃→十二指腸→小腸→大腸と運ばれ、肛門から便として排出されます。大腸の主な役割は、食べ物が消化吸収され残った残渣から水分を吸収し、排出されやすい硬さの便を作ることです。大腸が健康であり、正常に機能していれば、便は適度な硬さになり、スムーズに排出されます。しかし、なんらかの原因で水分の吸収が過度になると便が硬くなり便秘に、水分吸収が少ないと便の水分量が多くなり軟便や下痢を起こします。便の状態を見れば、大腸の健康状態が分かりますので、毎日、便の状態をチェックすることをお勧めします。

大腸がんとは

大腸がんは大腸の粘膜から発生する悪性腫瘍をいいます。大腸がんは、早期では自覚症状がほとんどありませんが、進行に伴い症状が出現することもあり、僅かな体調変化を放置しないことが重要です。どの症状も大腸がんだけではなく、他の疾患に由来する可能性もありますが、下記のような症状があれば、お近くの医療機関へ受診することをお勧めします。

  1. 排便習慣の変化
    大腸がんと診断された人の多くが経験しているのは『排便習慣の変化』です。毎日、定期的な排便習慣があり、便の状態も健康だったのが、何日も便秘をするようになったり、1日に何度も下痢をするようになったという方は要注意です。ある患者さんは、「便秘と下痢を繰り返すといった状態が極端に起きるようになり、どこに行ってもまず最初にトイレの場所を確認しないと不安だ」ということで受診され、検査の結果、大腸がんと診断されました。排便習慣が変わったという方は、念のため検査を受けることをお勧めします。
  2. 血便
    血便は、血液が便に混じった状態であり、がん細胞からの出血によっておこりますが、がん患部が肛門に近いほど、明らかな鮮血の出血があります。また、褐色便や黒色便の場合には、肛門から離れた箇所からの出血の可能性があります。大腸がんのサインの可能性がある血便ですが、痔による出血と自己判断し、放置してしまい発見が遅れることが多々あります。血便があった場合には、できるだけ早く、医療機関を受診し、検査を受けることが大切です。
  3. お腹の痛み
    お腹の痛みを体験することは珍しくはありませんが、症状を十分に観察し、頻繁に痛みがある、常に違和感があるといった場合には注意が必要です。大腸がんが大きくなり腸を狭くすることで便の通りが悪くなり腹痛が引き起こされることもあります。
  4. 体重減少
    食生活や生活習慣に変化がないにも関わらず、急激に体重が減少する場合も要注意です。大腸がんに限らず、がんになるとがん細胞が増殖するために脂肪やたんぱく質を分解していくため、食事を摂っているのに痩せていくことがあります。

大腸がんリスクと予防

大腸がんリスク

大腸がんになるリスクは、はっきりと分かっていませんが、食の欧米化が密接に関係しているといわれています。一汁三菜の和食で豊富な食物繊維を摂取していた頃に比べると、圧倒的に食物繊維の摂取が低下し、腸内環境が大きく変化していることが原因の一つと言われます。

  1. 脂肪・肉類の摂取
    かつての日本は魚が多く食べられていましたが、近年、肉の需要が高まっています。特に赤肉や加工肉の摂取は大腸がんのリスクを上げるとの研究報告が複数あります。
  2. 食物繊維の不足
    野菜や食物繊維が豊富な海藻や豆類、果物などは、大腸がん予防効果があるとされていますが、若い世代では、そういった食物繊維の摂取が低下している傾向にあります。
  3. 運動不足、肥満
    肥満も大腸がんのリスクファクターであり、肥満予防のためにも適度な運動が必要と言えます
  4. 喫煙,飲酒
    喫煙は、長期的に見るとタバコに含まれる発がん物質がリスクを高めると考えられ、喫煙者は非喫煙者に比べ、大腸がんの発生率は 1.4 倍との研究報告もあります。
    飲酒については、アルコール摂取量が、1日に15g(缶ビール350ml相当)増えるごとにリスクは 10%上昇することが分かっています。
  5. 家族歴
    遺伝性大腸がんがあり、特に家族性大腸腺腫症(Familial adenomatous polyposis:FAP)は放置すれば、ほぼ100%大腸がんを発症すると言われます。ご家族に大腸がんになった方がいる場合は、注意が必要です。

大腸がんの予防

大腸がんの予防は、食事や生活習慣を見直し、大腸がんのリスクファクターを減らすことが有益です。大腸がんを予防するために当院がお勧めする「チェック項目」は下記のとおりです。

  • 禁煙とお酒は適量
  • 加工肉は控える
  • 野菜や果物など食物繊維を積極的に摂取
  • 排便習慣(便秘改善、便の状態をチェック)
  • 適度な運動で肥満予防
  • 定期的な健康診断

大腸がんと大腸ポリープ

近年、大腸ポリープも増加の傾向にあります。冒頭でお話したように20~30代から、大腸がんに深く関連している大腸ポリープが増加傾向にあります。大腸ポリープには腫瘍性と非腫瘍性の2つのタイプがあります。

  1. 非腫瘍性ポリープ

    非腫瘍性ポリープは、良性でありがん化することはありません。
  2. 腫瘍性ポリープ
    腫瘍性ポリープは、増殖する性質があり、その中でも良性と悪性があり、悪性のものががん化していきます。
    しかし、悪性の腫瘍性ポリープでも早期発見し、がん化する前に切除すれば大腸がんを予防することができます。そのためには、定期検診や健康診断を受け、早期発見に努めることが重要です。

大腸がんの検査

  1. 便潜血検査
    便潜血検査は、自覚症状のない大腸がんの早期発見に有用で40歳以上を対象にした市町村単位での検診でも実施されています。便潜血検査は腫瘍からの僅かな出血を検出することができ大腸がんの約30%以上が、便潜血検査をきっかけに発見され、そのうちの70%が自覚症状のない早期がんとの統計がありますので定期的な検診を受けることが重要です。
  2. 大腸内視鏡検査
    大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸までの大腸全体を詳しく画像を見ながら調べ、大腸がんが疑われる病変があればその一部または病変全てを切除し、組織を詳しく調べる病理検査を行います。大腸がんリスクの高い方は、大腸内視鏡検査を受けることをお勧めします。当院では大腸カメラ検査が必要だと判断した場合、提携クリニックである、池袋消化器内科・泌尿器科クリニックをご紹介させていただいております。眠ったままの大腸カメラ検査が可能です。詳しくは当院医師・スタッフまでお問い合わせください。
  3. CT(Computed Tomography)検査
    造影剤を撮影前に静脈注射し、X線を使い全身の断面を撮影する検査です。診断精度が高く、腫瘍の観察がより詳しく把握でき、リンパ節転移、遠隔臓器への転移の状態を評価することができます。しかし、腎臓の機能が低下している方や造影剤に対するアレルギーがある方では、造影剤を使用することはできません。CT検査が必要だと判断した場合は、提携クリニックである池袋消化器内科・泌尿器科クリニックを紹介させていただいております。
  4. CTC(CT Colonography)検査
    通常のCT検査よりも大腸の状態を詳しく評価するCTC(CT Colonography)検査は、腫瘍が小さい場合にも感度が良く、信頼度の高い検査です。CTC検査では検査前日には、検査食、下剤を服用し、大腸の中をきれいにしてから翌日検査を実施します。当日の検査では、肛門から炭酸ガスをゆっくり注入し、大腸を膨らませた状態でCT撮影を行います。検査時間は15分程度で、検査終了後、炭酸ガスは腸管から速やかに吸収されますので腹満感もすぐに改善します。CTC検査は体への負担が少なく、安全に大腸を詳しく調べることができる検査です。CTC検査で大腸がんが見つかった場合には、さらに大腸内視鏡検査を行うことが必要です。
  5. MRI検査
    MRI検査では、大腸がんと診断された場合に腫瘍の深さ、リンパ節転移の有無、肝臓への転移の有無をより詳細に調べることが出来ます。
  6. 超音波検査
    大腸がんの肝転移やリンパ節転移の有無、大腸がんによる腸閉塞の有無、周囲臓器への浸潤度、大腸がんの進行度を調べるために有用な検査です。
  7. 血液検査
    血液検査では、大腸がんに特有の腫瘍マーカー(CEA・CA19-9)を調べますが、大腸がんの早期では腫瘍マーカーの値は正常の場合が多く、他の検査と合わせて診断します。

大腸がんの治療

大腸がんの治療は、発見された時の進行度によっても適する治療法が異なりますので、患者さんの希望を尊重し、相談の上、治療法を決定します。

0期~1期

早期がんでリンパ節転移がほとんどなく、がんが周りの組織への浸潤がない、または極めて少なく、内視鏡で完全に切除可能と思われる場合には、内視鏡治療が検討されます。

2期~3期

内視鏡での切除が困難な場合やステージ2、3に進行している場合、リンパ節転移の可能性がある場合は、開腹手術が行われます。また、再発の可能性がある場合などには、術後に化学療法が行われることもあります。

4期

ステージ4期は、肺や肝臓に転移があります。腫瘍が大きい場合には、化学療法(抗がん剤治療)を行い、がんを縮小した後に手術を行います。可能であれば、大腸に存在するがん(原発巣)と転移しているがん(転移巣)の両方を切除しますが転移の数が多く全ての切除が難しい場合には薬物療法を行います。
当院では大腸がんの治療は行っておりませんので、検査で大腸がんが疑われた際は、必要な検査、治療ができる医療機関へ紹介状をお出しします。

診療費用

当院は全て保険診療です。
初診の診療費用は薬代を除き、およそ下記のようになります。(3割負担です)

尿検査のみ 2000円前後
エコー検査のみ 2500円前後
採血+尿検査 3500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5000円前後
胃カメラ 3500円前後

当院では、プライバシーに配慮し、待合室では患者様全員を番号でお呼びし、全席に仕切りを設けております。経験豊かな専門医が患者さんに寄り添う診察を心がけておりますので、便秘や下痢を繰り返す、腹部が張る感じがある、家族性の大腸がんが心配という方は、大宮エヴァグリーンクリニックにお気軽にご相談ください。

この記事を執筆した人
久田裕也
医師 久田裕也

名古屋大学出身
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
内科認定医
肝臓、胆嚢、膵臓から胃カメラ、大腸カメラまで消化器疾患を中心に幅広く診療を行っている。

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