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大腸ポリープの症状・原因・検査・治療・予防について

はじめに

⼤腸ポリープがあっても初期ではほとんど⾃覚症状がありません。ですが、⼤腸ポリープの中には大腸がんになってしてしまうものもあり早期に治療が必要な場合があります。
本⽇は⼤腸ポリープの原因・症状・検査・治療・予防について皆様に分かりやすくお伝えしていきます。

1 大腸とは

大腸は小腸から繋がっていて、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、直腸、肛門からなる約1.5mの管状の臓器です。
大腸の働きは便の中の水分やミネラルを吸収し、形のあるものにして肛門から排泄することです。

2 大腸ポリープとは

大腸は管の中の表面から粘膜、粘膜下層、筋膜、漿膜で構成されています。
大腸ポリープはこの粘膜の一部がイボのように隆起してできたもののことを言い、腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに分けられます。

大腸ポリープ

大腸がんが発生する機序は2通りあります。1つ目は正常な粘膜が突然癌になる場合です。2つ目は腫瘍性ポリープのうち「腺腫」が大きくなって癌化する場合です。腺腫が大きくなればなるほど癌化する確率は高くなります。その為、癌にならない小さい段階で腺腫を発見し、早期に切除することが大腸がんを予防することに繋がります。

3 大腸ポリープの症状

大腸ポリープは初期では自覚症状がありません。ポリープが大きくなって、大腸の内腔を塞ぐほどになると、便の通過障害が起こり、便秘になったり下痢になったり、腹痛が現れたりする場合があります。
また、便が通るときにポリープと擦れて出血することもあります。

4 大腸ポリープの原因

大腸ポリープの原因についてはっきりしたことは分かっていませんが、下記の要因が考えられます。

  • 家族性大腸ポリポーシスなどの遺伝的要因
  • 加齢
  • 食事習慣
  • 肥満
  • 喫煙
  • 潰瘍性大腸炎などの炎症性疾患
  • 糖尿病
  • 運動不足

これらのことから分かるように、大腸ポリープを完全に予防することは難しいため、大腸ポリープの発生確率が高くなる40歳以降からは健康診断の便潜血検査を受けるなど、早期発見が非常に大切となります。自治体の健康診断でも大腸がん検診を実施しているところがほとんどですので、積極的に受けることをお勧めします。

5 大腸ポリープの検査

5-1 便潜血検査

主に健康診断の際に用いられます。この検査はヘモグロビンという血液中のタンパク質が便の中に含まれているかを調べる検査です。
大腸ポリープがあると、便が通る時に擦れてポリープから出血することがありますので、それを利用した検査となります。
便潜血検査は大腸ポリープだけではなく、大腸がんのスクリーニングにも有用です。微小な血液でも検出することができるため、便を採取するだけという手軽さにも関わらず、進行癌の90%以上、早期癌の50%以上を発見することができるという報告があります。

5-2 大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)では最も一般的であり、確実な診断に繋がる検査です。
肛門から内視鏡を入れて大腸全体を観察します。カメラで直接観察するので確実であり、疑わしい病変があった場合には組織を採取して顕微鏡で詳しく調べることも可能です。また、切除可能な大きさのポリープならその場で切除することもできます。

5-3 CTコロノグラフィ

CTコロノグラフィはCTを利用して大腸内部の画像を作成し、ポリープを検出する検査です。手術後の癒着などで大腸内視鏡検査ができない方にも検査が可能であり、患者様の身体への侵襲が少ないというメリットがあります。一方で、組織生検やポリープ切除ができないというデメリットもあります。

5-4 カプセル内視鏡検査

大腸用のカプセル内視鏡を飲み、大腸を観察する検査です。日本でも大腸内視鏡が施行困難な方や、施行困難が想定される方において保険適応となっています。
カプセル内視鏡は患者様に侵襲の少ない検査である一方、組織生検やポリープ切除ができないというデメリットがあります。

5-5 下部消化管造影検査(注腸検査)

肛門からバリウムを入れ、レントゲンで大腸を撮影する検査です。大腸の形やポリープの場所や大きさの確認をすることができます。下部消化管造影検査は前処置が大切で、大腸の中に便が残っていると確実な診断に繋がらない場合があります。

6 大腸ポリープの治療

大腸ポリープが切除せずに様子を見て良いものか(非腫瘍性ポリープ)、切除する必要があるものか(腫瘍性ポリープ)を判断し、切除する必要があるポリープに対しては下記の治療が行われます。

6-1 ポリペクトミー

内視鏡の先端から、スネアというループ状のワイヤーを出し、ポリープにかけて縛って切り取ります。高周波電流を用いて切り取る方法と、電流を用いずに切り取る方法があります。茎のある形のポリープの場合にこの方法が選択されます。

6-2 EMR(内視鏡的粘膜切開術)

内視鏡の先端から、粘膜にあるポリープの下に局注針で生理食塩水を入れ、ポリープを持ち上げてからスネアで縛って高周波電流で切り取る方法です。平坦なポリープの場合にこの方法が選択されます。

6-3 ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)

ESDは直径2cmを超える大きめなポリープにも対応できます。切除するポリープの周りにマーキングし、局注針で薬剤を入れてポリープを持ち上げてから専用の高周波ナイフで粘膜下層まで少しずつ剥離してポリープを取り切る方法です。

✳内視鏡での切除後に出血が認められる場合は専用のクリップで止血処置を行います。クリップは1〜2週間程度で便と一緒に自然に排出されます。また、切除後1週間は出血や穿孔を防ぐために激しい運動、飲酒、暴飲暴食、⻑風呂やサウナ、香辛料などの刺激物の摂取を控えていただきます。

6-4 外科的治療

内視鏡によるポリープ切除が困難と判断した場合や、癌化していてリンパ節への転移が認められる場合には外科的治療の対象となります。
治療は患者様の病態や年齢、生活背景、ご希望などの背景を総合的に鑑み、腹腔鏡手術やロボット手術、開腹手術など最適な治療が選択されます。

7 大腸ポリープを予防する食事

先述したように大腸ポリープの発生は生活習慣によるところが大きいとされています。その中でも食生活において注意したいポイントをまとめてみました。

  • 赤身肉の過剰摂取を控える
  • 加工肉(ハムやソーセージ、ベーコンなど)の過剰摂取を控える
  • 食物繊維を積極的に摂取する
  • 過剰な飲酒を控える
  • 糖質を控える

また、ヨーグルトなどに含まれているラクトフェリンには大腸ポリープの線腫を縮小させる効果があることが国立がんセンターの調査で分かっています。

上記のポイントに注意しながら、規則正しくバランスの良い食事を摂ることが大腸ポリープの予防に繋がります。

8 まとめ

大腸ポリープは自覚症状を伴わないからこそ早期発見が必要であり、早期発見のためには積極的な健康診断の受診が必要となります。
健康診断で便潜血を指摘された方、血便が出た方、家族に大腸ポリープの方がいる方など、大腸ポリープが疑われる方はぜひ当院までご相談ください。

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