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睾丸、陰嚢の痛み、違和感、腫れ

睾丸、陰嚢(キンタマ)が痛い、違和感がある、このような悩みは男性の多くの方が経験されていることと思います。男性にとって子孫を残すための大事な臓器であり、その周辺に違和感や痛みがあると過剰に反応してしまう傾向にあります。
睾丸・陰嚢の違和感、痛みは原因が様々であり緊急に手術や治療をしなければいけない場合もあります。
もし睾丸や陰嚢に違和感や痛みを感じた場合、泌尿器科受診をした方が良いでしょう。
下記にその痛み・違和感の原因疾患を説明させて頂きます。

精巣腫瘍、精巣がん

精巣に出来る悪性腫瘍です。

精巣に痛みを伴うことはほとんどありません。精巣に痛みがある場合は感染による炎症や精巣捻転を考えます。基本的には無症状で経過し、片側の精巣が鶏卵程の大きさになって異常と感じ泌尿器科を受診する方が比較的多くみられます。中には精巣が直径10cmになるまで放置してしまう方もおられます。

精巣の腫瘍は浴室などでセルフチェックできます。

2つの睾丸の大きさに左右差を感じなければ心配ないと言えるでしょう。

検査・治療

まず超音波検査にて精巣内部をチェックします。
癌がある場合は正常な精巣組織以外に腫瘍組織がみられます。
癌があると疑った場合は、MRI、CT、採血を行い、腫瘍の形態、進展度合いを判定します。

治療は基本的には手術で、精巣を一塊にして摘出します。切開する部位は鼠径部から陰嚢上部です。

摘出した組織の結果や転移の有無などから放射線治療や化学療法の追加を検討します。

精巣捻転

精巣捻転は精巣に出入りする動脈・静脈・精管が捻れてしまい、激しい痛みが生じます。
その状態が続くと精巣(睾丸)への血流が途絶え精巣が死んでしまいます。
好発年齢は10代の男性です。
陰嚢の痛みが起きた場合、この精巣捻転が1番否定しておきたい疾患です。
症状は急に起きる陰嚢の痛みです。
その後陰嚢の硬結や陰嚢浮腫が見られます。

検査・治療

まず触診にて精巣(睾丸)に圧痛があるかを確認します。精巣捻転であれば激しい痛みがあります。大きさは時間経過とともに徐々に大きくなる場合があります。
超音波にて精巣への血流や精巣の大きさを確認します。精巣捻転の場合、精巣への血流は低下しているか、全く無い場合もあります。
治療は手術です。陰嚢皮膚を切開し、捻転を直接解除します。血流が無くなっている精巣の捻転を解除して精巣機能が回復するのは捻転してから6時間以内と言われています。手術中に捻転を解除した後に精巣機能が回復しないと判断した場合は、精巣を摘出します。
回復した場合は再度捻転しないように陰嚢内に固定します。

後述している精巣上体炎では明らかに精巣は腫大しているため、そこで判別可能になる場合もあります。ただ、精巣上体炎であまり腫れていない状態と精巣捻転で比較的腫れている状態の区別をつけるのはエコーやMRIなどの検査をしても難しいと言われてます。その際には切開し直接精巣の状態を確認しなければなりません。
何故なら、精巣捻転だったのに精巣上体炎だと診断して捻転を解除しないでいると精巣が壊死してしまい、摘出しなければいけなくなるからです。

なので、そのリスクを考えると、傷も目立たない陰嚢皮膚を切開し直接確認するべきと言われています。

精巣上体炎

精巣上体炎は尿道から病原体が侵入し、精巣の付属器である精巣上体に感染を起こしている状態です。原因としては尿道カテーテル留置後や膀胱鏡検査後などの泌尿器科的処置が挙げられます。性病の1つであるクラミジア尿道炎を治療せず放置しておくとクラミジアが精巣上体炎を引き起こすこともあります。特に誘引がなく起きる場合もあります。
症状は片側の陰嚢の痛み、陰嚢の腫大、発熱です。稀に両側に起きることもあります。

検査・治療

尿検査にて尿白血球の上昇を認めます。
超音波検査にて、腫大した精巣上体と精巣を認め血流の増加も認めます。
採血にて白血球とCRPの増加を認めます。
基本的には抗生剤の投与と痛み止めの薬を投与します。陰嚢の冷却も有効です。
痛みは治療開始1週間以内にはだいぶ治りますが、腫れと硬さは1ー2ヶ月はなかなか引きません。

精索静脈瘤

精索静脈瘤とは、陰嚢内にある精巣周囲にできる血管・静脈の瘤のことです。血管の走行の理由から左側に出来ることがほとんどです。
症状としては、陰嚢の痛み、陰嚢の違和感、陰嚢が締め付けられる、歩いて擦れると痛む、鼠径部の痛み、など様々です。ほとんどの方が違和感や軽い痛みの程度であり、痛み止めを飲む程ではありません。
静脈瘤が出来ることで精巣の体温が上昇し精子を傷付け、不妊の原因になる可能性があります。
私の患者様には、今後お子さんを作る予定が無い場合は大事では無いことを説明した上で経過観察して頂き、数ヶ月おいても気になるようであれば手術をお勧めするという形をとってます。
何故なら、精索静脈瘤は良性疾患であり、手術にはリスクが伴うので、なるべくならば手術による治療は避けたいと考えているからです。

検査・治療

陰嚢超音波検査にて精索静脈の拡張、瘤を確認します。
治療は下腹部を2-3㎝程切開する高位結紮術と鼠径部を切開する顕微鏡を用いた低位結紮術があります。再発率は顕微鏡を用いた低位結紮術の方がはるかに低く傷も目立たないため現在は主流となってます。

精巣損傷・精巣外傷

精巣が外部からの力で損傷した状態です。
人に蹴られた、ボールがぶつかった、交通事故などによることが多いです。

検査・治療

精巣を超音波で確認します。
出血が止まっていて、精巣表面の被膜(白膜)に連続性があり断裂していなければ保存的に経過をみます。数日経過して、出血量の増加がなく痛みが軽減していれば問題ありません。
もし白膜が断裂していたり、出血量が増えている場合は手術にて損傷部分を縫合するか、損傷が大きい場合は精巣を摘出します。

陰嚢水腫

陰嚢水腫とは

陰嚢水腫は40代から60代の男性に好発する、陰嚢の中に水が溜まって陰嚢が腫れてしまう状態です。
気付いた時には鶏卵大くらいの大きさになっており、その後放っておくとどんどん大きくなっていきます。ズボンの上からでも陰嚢が膨らんでいるのがわかるような状態になることもあります。
痛みは基本的にはありません。水が溜まるので陰嚢の表面は滑らかに腫れてきます。

陰嚢水腫の原因

リンパ液が精巣を包む膜の中に分泌されることで起こります。何故リンパ液が分泌されるのかはっきりとした原因はわかっておりません。

陰嚢水腫の検査

超音波にて陰嚢内を観察し、精巣周囲に水が溜まっていることを確認します。悪性腫瘍の可能性が無いかしっかり確認することが重要となります。

陰嚢水腫の外科治療

基本的には手術治療が原則です。
陰嚢を解放し、精巣を包む膜を可能な限り切除します。平均して3泊か4泊くらいの入院を必要とします。手術時間は30分程度です。
腰椎麻酔、もしくは全身麻酔で行います。

陰嚢水腫の穿刺処置

手術を受けたくない方には陰嚢穿刺をして水を抜くこともあります。その場合は高率で再発してしまいます。また穿刺を繰り返すと、その後の手術がやりにくくなるということもあります。
上記の理由で穿刺は以前よく行われていましたが、最近はほとんど行われなくなりました。

 

上記に睾丸に違和感や痛み、腫れを感じる病気を挙げました。自分でご自身の病態を判断するのは難しい場合もあります。陰嚢、精巣の病気は超音波検査が非常に有用です。泌尿器科を受診することが恥ずかしいことと感じる方も多いですが、当院は健診者や他の科の患者様もたくさんいらっしゃるため目立つことなく泌尿器科受診をしていただけます。もし気になる痛みや違和感がございましたらお気軽に当院までお越し下さい。

またオンライン診療も行っております。

全国どこからでもオンライン診療は可能です。泌尿器科、消化器科でお悩みの方は是非下部のバナーよりご相談下さい。

この記事を執筆した人
伊勢呂哲也
伊勢呂哲也

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。

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