腎臓結石・尿管結石
◆目次◆
1 腎臓・尿管結石とは
1.1 尿管結石の痛みの原因
1.2 尿管結石の痛みの特徴
2 腎臓・尿管結石の検査
3 腎臓・尿管結石の治療
3.1 ESWL(体外衝撃波結石破砕術)
3.2 TUL(経尿道的尿管結石破砕術)
腎臓・尿管結石とは
腎臓結石、尿管結石と聞いてどのような症状を思い浮かべるでしょうか?
まず最初に非常に強い痛みが思い浮かぶと思います。尿管結石の痛みは痛みの王様と言われており、患者様は耐えきれずに救急車を使ってくる方も非常に多いです。
腎臓結石は腎臓の腎盂内に結石がある状態です。もともとは腎臓の実質内で結石が生成され、ある程度の大きさになったら腎盂内に排出されるのです。腎盂内に結石があることによって痛みが出ることはありません。結石が腎盂の粘膜を擦り、出血することが稀にあり血尿として現れることがあります。
尿管結石の痛みの原因
腎盂内にある結石が何かの拍子で尿管内に落ちます。その際に尿管を結石が傷つけます。また、結石が尿管にはまり込むことで、尿がせき止められ結石より下に落ちれなくなります。
尿がせき止められた状態だと結石より上側の尿管や腎盂が風船のように腫れてきます。尿が下流に流れないので自然とそうなりそうですよね。その尿管や腎盂の張りが痛みとなって現れるのです。その腫れた状態のことを水腎症と呼びます。水腎症は超音波検査で確認することが出来ます。
尿管結石の痛みの特徴
尿管結石の痛みの特徴として、
- 動いても動かなくても痛み方は変わらない
- 腰が張り痛い感じがする
- 痛みは24時間は続かない、急に痛み出し、急に収まる
- お腹を押さえても痛くないことがほとんど
これらのことが挙げられます。
痛みがあった状態で外来に徒歩で来る方もいらっしゃいますが、
腰に痛みがあって尿管結石を疑って泌尿器科を受診される方は多い
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腎臓・尿管結石の検査
腎臓結石・尿管結石の検査はレントゲン、腹部超音波検査、尿検査で可能です。レントゲンは結石がどこにあるかを確認します。尿管にあるのか腎臓内にあるのか膀胱にあるのかの確認です。腹部超音波検査では、腎盂、尿管が拡張していないかを調べます。先述の通り、結石より上側の尿管や腎盂は腫れて水腎症という状態になるのでそれを確認します。また、尿検査にて尿潜血(尿の中に赤血球が存在する)が出ていることも尿路結石を疑う根拠となります。
結石の種類によってはレントゲンではうつらない結石もあり、その場合はCT検査が必要になります。
また尿管結石によって尿が堰き止められることで腎臓の機能が低下することがあります。最終的には腎不全という状態になることもあります。腎臓機能の低下が疑われる場合、採血をして腎機能を確認する必要があります。
当院では基本的にレントゲンと超音波検査と尿検査で尿管結石の診断を行ってます。必要に応じてCT検査などの追加の検査を行っております。
実際のCT画像
腎臓・尿管結石の治療
治療は基本的には保存的に経過をみます。
つまり、自力で石が外に出るかを待つということです。
また腎臓結石の場合は痛みもなく身体に悪影響がないため特に治療を行わないことがほとんどです。(腎臓結石によって強い血尿が出たり、腎臓機能の低下がみられるような場合は治療を行う場合もあります)
当院では結石の排泄を促進するのを助ける内服薬の処方も行なっております。また、近年は結石のある方、あった方に対してその結石を大きくさせないように、再発させないように内服治療をすることが薦められてます。
結石の直径が5mm以内だと、ほとんど全ての結石が自力で排石されます。
5-10mmの結石も高齢であまり動けない方や尿管狭窄がある方でなければ自力で排石される可能性が高いです。
10mm以上ですと自力で排石される場合もありますが、基本的には難しいとされてます。1-2ヶ月排石を待ってみてもし出ないようであれば、下記に記すようなESWLやTULの適応となります。
ESWL (体外衝撃波結石破砕術)
腎臓・尿管結石の治療に用いられる衝撃波のことです。
身体にメスを入れることなく、体外から衝撃波を結石に与えます。それによって結石が細かく砕かれ自力で外に出やすくするという治療です。
基本的に上部尿管と腎盂の結石に適応があります。
メリットとしては入院期間が少なくてすむということと合併症が少ないということです。
デメリットとしては、複数個ある結石には対応出来ないということ、割れない可能性があること、合併症で腎出血があるということです。
ESWLはあまり術者の技量に左右されない手技だと言われてます。
TUL (経尿道的尿管結石破砕術)
尿道から内視鏡を入れ、カメラを見ながら直接結石にレーザーを当て結石を破砕する治療です。
ESWLに比べて結石がなくなる可能性が高く、90%以上は結石が完全消失します。基本的に腎盂、尿管、全ての場所の結石に対応可能です。
複数個の結石にも対応出来ます。
デメリットとしては、尿管をレーザーで傷付けてしまい尿管狭窄の原因になることがあること、術後尿路感染を起こす可能性があること、入院期間が2-3泊は必要になる、ということです。またESWLと違い術者の技量によって手術の結果が大きく異なります。TULを選択する場合はTULの手術件数が多い病院で行うことをお勧めします。
当院ではレントゲン、腹部超音波検査を兼ね備えており、結石の正確な診断が可能です。
腎臓・尿管結石の手術の経験も豊富であり、適切なタイミングでの高度医療施設への紹介が可能です。腎臓・尿管結石でお悩みの方は当院泌尿器科外来までご相談ください。
現在当院では徹底した新型コロナウイルス感染対策をしながら診療を継続しております。
またオンライン診療も行っております。
全国どこからでもオンライン診療は可能です。泌尿器科、消化器科、内科でお悩みの方は是非上記のリンクか下部のバナーよりご相談下さい。
日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。