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膀胱炎

膀胱炎と聞くとどのようなことをイメージするでしょうか。女性がなりやすい、排尿時に痛い、トイレに行く回数が多くなる、そのようなことをイメージする方が多いと思います。

実は、膀胱炎といっても様々な種類があります。
膀胱炎は泌尿器科にかかる患者さんの中で最も多い病気の1つです。
それぞれの症状、特徴について説明したいと思います。

急性膀胱炎

急性膀胱炎は一般的にみなさんが想像する膀胱炎です。尿量が減少する夏場に多くなり、基本的には女性しかかかりません。それは女性が尿道の長さが短いため膀胱と外との距離が近く、外からの菌が入りやすいためです。また、女性は尿道と肛門との距離も近いためばい菌で溢れている便が膀胱に入りやすいのです。急性膀胱炎の特徴的な症状には、排尿時痛(おしっこした時、おしっこした後の痛み)、頻尿(トイレに行く回数が多くなる)、残尿感(おしっこした後も残った感じがある)があります。泌尿器科の他の病気でもこのような症状がありますが、急性膀胱炎も含む感染の病気は、年月をかけて徐々にこのような症状が起きてくるのではなく、急に起きるということです。

急性膀胱炎は急性腎盂腎炎の原因にもなります。
腎盂腎炎は腎臓の炎症で、高熱と腰痛が特徴ですが、重症になると入院にまで発展します。膀胱炎は早めの治療が重要です。

急性膀胱炎の原因

急性膀胱炎になりやすい原因として、おしっこしたくても行けない、飲水量が少ない、尿道周りが清潔でない、というのが挙げられます。先述の通り女性は膀胱内にばい菌が入りやすいため、その菌が悪さをしないように尿をたくさん作って薄めて、すぐにトイレに出してしまえばばい菌が繁殖することが出来ないのです。
急性膀胱炎の原因菌として大腸菌が80%を占めます。残りの15%も腸内細菌群です。やはり肛門からくる腸由来の菌で起きてることがわかりますよね。

急性膀胱炎の検査

当院では一般尿検査、尿沈渣に加えて外注の尿培養検査(尿の中の菌を見極め、その菌に効く薬を探す検査)を行なってます。
膀胱炎を短期間に繰り返す方は、結石や腫瘍など膀胱炎以外の病気が隠れている可能性があるため、そのような病気がないか検査が必要です。
当院では膀胱内を観察出来る膀胱鏡、痛みなく尿路を観察出来る超音波検査、尿の中に癌細胞がこぼれ落ちてないか検査する尿細胞診検査を行なってます。

急性膀胱炎の治療・予防

基本的には抗生剤(細菌を殺す薬)を投与することで改善します。
当院は感染症の診療ガイドラインに従って治療しています。

処方例

レボフロキサシン500mg  1日1回×3日間
シプロフロキサシン200mg 1日2回×3日間
ST合剤配合錠 2錠 1日2回×4日間

初回の抗生剤投与で治らない場合は、尿培養検査を参考にして2回目の抗生剤を選択します。

複雑性膀胱炎

聞くだけで難しそうな名前で、しかも複雑と書いてます。だいぶ重そうな病気の気がしますね。
しかしそんなに理解しにくくはありません。
複雑性膀胱炎とは、何らかの器質的な(結石、腫瘍、尿道カテーテル、神経因性膀胱など)原因があって、それによって膀胱炎になっている、ということなのです。
膀胱炎だと思って抗生剤を投与していても、なかなか治癒しなかったり、すぐに再発するような時には結石や腫瘍、神経因性膀胱が背景にあることを疑って検査することが必要です。そしてそのような原因の病気があった場合はそれを取り除く必要があります。
結石や腫瘍は外科的な経尿道的内視鏡的手術で取り除きます。
神経因性膀胱からの膀胱炎では、膀胱がうまく機能していないために排尿後に残尿が多量に残ってしまいます。なので、膀胱に働きかけ残尿を減らせるようなお薬を処方します。

再発性膀胱炎

急性膀胱炎を短期間に繰り返してしまう方、泌尿器科の外来にはたくさんいらっしゃいます。1ヶ月で2回も急性膀胱炎になってしまった、治ったと思ったらまたすぐになってしまった、このような経験をしている方は意外に多いと思います。

再発性膀胱炎の原因・治療

①結石や腫瘍や神経因性膀胱などの疾患がかくれている。

前述の複雑性膀胱炎の方針で治療します。

②膀胱炎の菌を殺しきってないための再発

尿培養で原因菌の検索をし、初回とは異なる種類の抗生剤を十分量投与する。初回で尿培養の検査を提出することが望ましい。

③  ①②のどちらにも該当しないが、再発する膀胱炎

菌が完全にいなくなっていて、かつ検査しても腫瘍や結石が見つからないのにも関わらず頻繁に再発する膀胱炎は日常診療で多く見られます。

そのような方にはまず膀胱炎になりにくくなるように日常の生活を気を付けて頂きます。急性膀胱炎の項でも書いたように、水分を多く摂る、トイレに行きたくなったらすぐトイレに行く、隠部を清潔に保つ、を心がけて頂きます。

それでも膀胱炎を繰り返してしまうという方もいます。
そのような方には漢方薬が効くことが多いです。
漢方薬を使うことで、膀胱の血流を改善させ膀胱機能を改善させます。それが結果的に膀胱炎になりにくい膀胱になるのです。
私の患者さんの多くは、繰り返す膀胱炎の治療として半年から1年ほど漢方薬を飲んでもらい、膀胱炎が繰り返さないことを確認した後に服薬を徐々に減らしていき完全に服薬中止しています。その後漢方薬内服なしでも膀胱炎を繰り返さないことを確認し治療終了です。
漢方薬は保険適応になります。
繰り返す膀胱炎でお悩みの方は当院医師までご相談下さい。

この記事を執筆した人
伊勢呂哲也
伊勢呂哲也

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。

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