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膀胱がん

膀胱がんと聞くとどのような病気を思い浮かべるでしょうか。
血尿が出る、有名人が病気にかかったことを公表した、膀胱を取るので自分で尿が出来なくなる、などこのようなイメージがあるのではないでしょうか。
このページを読んで頂いて膀胱がんについての皆様の理解が深まったらと思います。

膀胱がんの症状

膀胱がんの初期の症状は血尿です。他に症状は何もありません。ただ血尿が出るだけです。そして必ず血尿が出るわけではありません。ですが、がん細胞はもろいので、高率に血尿が出ます。
初期の血尿に気付いても病院にいらっしゃらない患者様もいます。2年間血尿が出ているのを放置して、貧血が出てきたので体調不良で病院にかかったという患者様もいるくらいです。
膀胱がんが進行すると、血尿だけでなく排尿時痛腹痛を伴うようになります。

膀胱がんの検査

血尿や、健診で顕微鏡的な血尿で引っかかった患者様には、まず腹部超音波検査と尿の細胞診検査お願いしてます。
腹部超音波検査は超音波をお腹に当たることでお腹の臓器を観察します。膀胱は尿に満たされている場合、観察しやすいです。そこで膀胱に凸凹があったり、腫瘤を疑う所見がないかをみます。
尿細胞診検査とは、おしっこの中にがん細胞が混じっていないか顕微鏡で確認する検査です。
先述の通り、がんは正常な組織と違いもろい組織なので、簡単に崩れやすいので、尿の中に混じってきます。
この2つの検査でどちらかでも膀胱がんを疑う所見があれば、軟性膀胱鏡検査を行います。
直接カメラで膀胱内を確認して、大きさや場所を把握するためです。
また、超音波検査と尿細胞診検査で異常が見られなくても、もし目で見える血尿のある方には膀胱鏡検査をすすめてます。何故なら、超音波検査で指摘出来ないような小さながんが膀胱内に出来ることがあるからです。
顕微鏡的な血尿の患者様には、2つの検査で異常なければ基本的に経過観察としてます。
 
そして、カメラにて膀胱がんが指摘された場合、どれくらいの進行をしているかを検査しなくてはいけません。
まずMRI検査にて、どれだけ深く浸潤しているのか調べます。ここでは、膀胱の筋肉まで浸潤しているかいないかが重要になります。
そしてCT検査にて転移所見が無いかを調べます。この検査で転移があるかなしかわかるやですが、その結果で大きく治療方針が変わってきます。転移しやすい部位は、リンパ節、肺、骨が挙げられます。 
 

膀胱がんの治療

膀胱鏡検査にて膀胱がんを指摘された場合、先述の通りどれだけ進行をしているのかを調べますと書きました。
 
①転移がなく、筋肉まで達していない場合
この場合は、尿道からの内視鏡的切除が可能です。完全に内視鏡的に切除した後に、病理組織の結果や腫瘍の大きさ次第では、膀胱内に再発予防のお薬を入れます。そしてその後、3ヶ月ごとにカメラでフォローします。何故なら膀胱がんは非常に再発しやすい癌だからです。
 
②転移がなく、筋肉より深く達している場合
この場合は膀胱を全て取らなくてはいけません。何故なら腫瘍が筋肉まで達していると、内視鏡的に筋肉を含めて切除したとしてもがん細胞が残っている可能性が高いからです。
膀胱を摘出すると尿を貯めておくところがないので、腸管で代用するか、尿管から直接お腹を通して体外に尿を出すことになります。
そして場合によっては手術前か後に抗がん剤の治療を行います。
 
③転移がある場合
基本的には膀胱がんで転移がある場合は手術治療の対象にはなりません。何故なら、転移がある場合は根本的に治すことが出来ないからです。
基本的には症状に対してお薬や放射線の治療をするといったことになります。
例外的に、血尿が強い場合や尿路を確保するために手術を行う場合があります。
血尿に気付いた方はすぐに泌尿器科を受診しましょう。
膀胱がんの診断には膀胱鏡が必要です。
当院では痛みの少ない軟性膀胱鏡を備えております。
血尿や下腹部に違和感を感じた方は当院泌尿器科までご相談下さい
この記事を執筆した人
伊勢呂哲也
伊勢呂哲也

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。

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