オンライン診療の上手な活用法について
1 はじめに
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、現代社会では様々な生活スタイルが当たり前となりました。自宅にいながら仕事ができたり、銀行の手続きができたり、食料品の買い物でさえ済ませることが可能となっています。
そして今、医療機関への受診もオンラインで済ませる方が増えています。
医療機関への受診は⻑い待ち時間が発生することも多く、「半日がかりでどっと疲れた」「かえって具合が悪くなった」などと憂鬱に感じる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は賢く使えば非常に便利で、時間を有効に使えるオンライン診療のメリットやデメリット、また上手な使い方について皆様にお伝えさせていただこうと思います。
2 オンライン診療とは
オンライン診療とは、情報通信機器(パソコンや携帯電話など)を通じ、会話や画像など患者様から得た情報をもとに、医師がアドバイスや指示、処方などを行うことを言います。
1997 年にオンライン診療が開始されましたが、当時は「かかりつけ医であることが必須」「生活習慣病などに限定」など厳しいルールがあり、誰もが簡単に受けられるものではありませんでした。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い規制が緩和され、誰もが便利に利用できるようになりました。
3 オンライン診療のメリット
3-1 メリット1 遠く離れた場所の医師ともオンライン診療ができる
例えば、「テレビや YouTube で見たことのある先生に診てもらいたいが、その医療機関は飛行機でないと行けない距離なので諦めた」といったケースも今まではあったかもしれません。
しかし、それがオンライン診療なら、わざわざ遠くまで行かなくても、希望する先生と話せたり、処方箋をもらえたりすることが可能となります。
3-2 メリット2 症状が安定している場合は薬の継続処方だけで済む
確定診断のついた疾患の症状が安定している方で、薬の継続処方だけが必要な場合にはオンライン診療は非常に向いています。
かかりつけ医がオンライン診療をしていれば、医師が患者様の体調をオンライン上で確認した上で薬を継続処方することが可能となりますので、わざわざ医療機関を受診する必要がなくなります。
そこで医師が必要だと判断すれば受診を促したり、「次回は採血をするのでオンライン診療ではなく来院してください」といった指示をしたりすることもできます。
受診する時間がなくて治療を中断してしまう方が一定数いらっしゃいますので、オンライン診療は治療の離脱を防ぐためにも非常に有効と言えます。
3-3 メリット3 初診でもオンライン診療が受けられる
オンライン診療は以前はかかりつけ医に限られていましたが、現在では規制が緩和され、初診でもオンライン診療が受けられるようになっています。
「かかりつけ医がオンライン診療をしていない」「かかりつけ医に受診する時間がない」「かかりつけ医に受診するまでの数日分だけ薬がほしい」といった場合にはかかりつけ医ではないところでオンライン診療を受ける方も増えているようです。
3-4 メリット4 時間を有効に使える
仕事で忙しい方や育児中・介護中の方など時間的制限があり、医療機関の受診を躊躇している方はオンライン診療が非常に便利です。
オンライン診療は「◯時〜◯時まで」と時間が決められているので、待ち時間がなく、忙しい方にはぴったりです。
24 時間予約可能な医療機関も多く、思い立った時にいつでも予約できるのも大きなメリットです。
3-5 メリット5 外出しなくて良い
ご自宅に届いた処方箋をお近くの調剤薬局にお持ちいただく必要があるのですが、ご自宅まで薬を届ける配送サービスをしている薬局もあります。
そのため、ご高齢の方の負担をなくしたり、天候の悪い中外出しなくて済んだり、お子さんを留守番させなくて済んだり、外出することなく全てが完結します。
さらに、「医療機関を受診した際、周りに風邪の人がたくさんいてうつされてしまった」といった二次感染も防ぐこともできます。
4 オンライン診療のデメリット
症状によってはオンライン診療が向かないケースもあります。
処置が必要なものや、検査が必要なものなどは実際に対面で行わなければならず、オンライン診療のデメリットと言えます。
5 オンライン診療の上手な活用法
オンライン診療は非常に便利なものではありますが、対面診療に比べると診断に限界があり、わずかな異常を見逃す原因となったりするため、上手に活用する必要があります。
- 症状が安定してきたので次回からオンライン診療に切り替える
- ずっとオンライン診療で薬をもらっていたが、違った症状が出てきたので直接受診する
- 先生から、次回は検査をするのでオンライン診療ではなく直接受診してほしいと言われた
- 検査の結果だけオンライン診療で聞きたい。その結果治療が必要だったら直接受診する
このように、オンライン診療と直接の受診を使い分け、時間を上手に使っていくのが理想的ではないでしょうか。
6 オンライン診療を受けるには
受けてみたい医療機関が実際にオンライン診療をしているかどうか、ホームページを確認したり、電話で確認したりしてみると良いでしょう。また、厚生労働省のホームページではオンライン診療実施医療機関の情報を都道府県別に公表していますので、そこから調べてみるのもいいかもしれません。
当院は「厚生労働省指定オンライン診療研修」を受講し、修了登録番号を付与された医師が責任を持って管理、運用しております。
7 当院のオンライン診療の流れ
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- CARADA オンライン診療に登録し、氏名・住所・電話番号・クレジット情報などを登録
- ご都合の良い日時を予約
- オンライン診療実施
- ご自宅に処方箋が届く or ご希望の薬局にクリニックから処方箋をFAX
- 発行日より 4 日以内にお近くの薬局で薬を受け取る or 薬局より薬が届く
8 まとめ
オンライン診療は「様々な感染症の流行」「高齢化」「核家族化」など多くの問題を抱える現代で、受診離脱を防ぐための希望の光です。
オンライン診療を賢く利用し、誰もが健康で幸せな毎日を過ごせるように願います。
日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。