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食道がんの症状・リスク・検査・治療について

食道がんとは

食道とは

食道は、口から胃につながる管状の器官で、主に食べ物や飲み物を胃に送り込む役割を持っています。
食道は体の気管の後方に位置し、肺の直前を通り、心臓の前を横切るように体の中心の深い場所にあります。
食道は、内側に平滑筋と輪状筋の二重の筋肉層があり、この筋肉層が収縮することで、食物を飲み込むこと(嚥下)ができ、飲み込んだ食物を胃へ送り込む力を発揮します。
このように食道は、食べるという行為に欠かせない重要な器官であり、私たちの健康を支える役割を担っていると言えます。

食道がんとは

食道がんは、食道内の細胞ががん化して増殖する病気です。
食道がんは、がん細胞の種類で、主に扁平上皮がんと腺がんのふたつのタイプがあり、日本では約90%が食道の粘膜の扁平上皮から発生する扁平上皮がんと言われます。
腺がんは、逆流性食道炎との関連が深く、胃酸の逆流が長期間繰り返されることによって食道の粘膜が胃と同じ粘膜に変化してしまうバレット食道と呼ばれる状態になると食道腺がんという特殊な食道がんに進展することがあります。
また、がんが発生する部位によって頸部食道がん、胸部食道がん、腹部食道がんの3つに分類されます。
食道がんは男性の罹患率が高い傾向にあり、男性5:女性1という比率です。

食道がんの症状

食道がんの初期ではほとんど自
覚症状は出ませんが、がんが進行し、大きくなるに伴い、何らかの症状が出てきます。代表的な症状は下記の通りです。このような症状が出た場合は、必ず消化器科を受診しましょう。

胸・背中の違和感、痛み

飲食物を飲み込んだ時に違和感やしみる感じ、胸や背中の痛みが出ることがあります。

喉がつかえる、飲み込みづらい

食道がんが大きくなると食道の内側が狭くなり、食べ物を飲み込むことが困難になります。

体重減少

飲み込むことが困難となり、十分な食事が取れなくなるため、体重が減少します。

声のかすれ

進行食道がんが進行すると、声帯を動かす反回神経という神経のまわりにリンパ節転移が起こることが多く、その転移によって声のかすれが出ることもあります。

食道がんは、初期の段階で治療できれば、完治することも可能であり、早期発見、早期治療が非常に重要となります。上記に当てはまる症状が一つでもあるという人は、できるだけ早く、近くの医療機関を受診することをお勧めします。

食道がんの治療

食道がんのステージ

食道がんはその進行度合いによって下記のように分類されます。
早期食道がんでは、がん細胞は食道の壁の粘膜内にとどまっていますが、食道がんが進行し、食道の周囲の臓器にがん細胞が広がると、がん細胞が食道の壁のリンパ管や血管から侵入し、リンパ液や血液の流れに乗って他の臓器やリンパへと到達し、転移が起きます。

ステージ0

初期の食道がんは、粘膜内に留まっているため、ほとんど自覚症状がありません

ステージI

がん細胞が食道の壁の内側の粘膜下層まで侵入した状態です。
喉がつまる、食べ物がつかえるといった症状や喉の痛みや違和感などが現れます。逆流性食道炎に似た症状となります。

ステージII

がん細胞が食道の壁を貫通し、周囲のリンパ節に転移した状態です。
胸痛 、嚥下痛(飲み込む時の痛み) 、咳 などが現れます。

ステージIII

がん細胞が食道の壁を貫通し、さらに食道の周囲の組織に転移している状態です。
体重減少 、食欲不振 、嘔吐 、吐血 、貧血などが現れます。

ステージIV

がん細胞が他の臓器や遠いリンパ節へ転移している状態です。
全身の倦怠感 、体重減少 、食欲不振 、吐血 ・咳や呼吸困難などが現れます。

食道がんの治療

ステージ0

NBI強調画像で観察した食道がん

内視鏡によってがん細胞だけを切除します。
この場合、食道を残すことができるため術後の生活も変わらず送ることができます。
ステージ0でがん細胞を完全に切除できた場合の5年生存率は、およそ90%以上と報告されています。

ステージI

リンパ節転移がない場合には、外科的手術によってがん細胞を切除します。
がん細胞が完全に切除できた場合には、5年生存率は75%程度と報告されています。

ステージII~III

進行がんであるため、他の組織やリンパ節への転移の状況から手術可能な範囲であれば手術を検討し、必要に応じて、化学療法を行います。
5年生存率は、ステージIIで60%、ステージIII期で40%と報告されています。

ステージIV

食道がんが他の組織やリンパ節に転移した場合、切除不能となります。
この場合、患者さんの希望を優先し、QOL(生活の質)を維持するため、疼痛治療などを中心に行います。

食道がんの検査

食道がんの検査には、以下のような方法があります。

上部消化管視鏡検査

実際の胃カメラの画像

一般に胃カメラと呼ばれる検査です、胃カメラ検査は、内視鏡を使って、食道の中を観察し、がんがあるかどうかを確認します。
また、がんが疑われる箇所があった場合、組織を少量採取し、生検を行い、がん細胞を確認することもできます。当院では麻酔を使った胃カメラ検査も行っており、眠ったまま苦しまないで胃カメラ検査が可能です。詳しくは当院医師、スタッフまでお尋ねください。

消化管造影検査(バリウム検査)

一般にバリウム検査と呼ばれる検査です。バリウムを服用し、バリウムが食道を通過するところをレントゲンで撮影することで、食道の形や動きを調べることができます。
がんがある場合は、異常な影が見つかることがあり、その場合、さらに詳しい検査を行います。ただし、バリウム検査では早期の食道がんを発見するのは困難なことも多く、違和感がある場合は胃カメラ検査が推奨されます。

超音波内視鏡検査

内視鏡と超音波装置を一体化した検査で食道がんの深さ、食道の周囲の臓器やリンパ節への転移を調べることができます。

CTスキャン

食道がんが食道のどの位置にあるか、他の臓器やリンパ節への転移を調べることができます。CT検査は放射線被曝はしますが、簡易的でわかる情報量も多く、とても有用な検査となっております。

MRI検査

CT検査で十分に判断できないリンパ節転移や、食道がんが周囲の組織に与える影響や他の臓器への小さな転移を調べることができます。

エコー検査(超音波検査)

体の表面から超音波で腹部と首(頸部)を観察し、腹部では肝臓への転移や腹部のリンパ節転移を調べます。超音波検査は、体への負担も少なく、得られる情報も多く、とても有用な検査です。

血液検査

がんの進行度の指標となる腫瘍マーカーを調べます。
しかし、がんの初期の段階では血液検査に異常を認めないケースも多くありますので他の検査も合わせて行います。

食道がんリスクと予防

食道がんのリスク

食道がんのリスク(危険性)として広く知られているのが、喫煙と飲酒ですが、他にもリスク因子があります。
飲酒:長期間、多量のアルコールを摂取することが、食道がんの発症リスクを高めることが知られています。
特に日本での食道がんの90%以上と言われる扁平上皮がんでは、毎日、飲酒する人は、お酒を飲まない人と比べ、食道がんの発生するリスクは2倍と言われます。

飲酒

長期間、多量のアルコールを摂取することが、食道がんの発症リスクを高めることが知られています。
特に日本での食道がんの90%以上と言われる扁平上皮がんでは、毎日、飲酒する人は、お酒を飲まない人と比べ、食道がんの発生するリスクは2倍と言われます。

喫煙

現在も喫煙している人だけでなく、過去に喫煙していた人も、非喫煙者に比べ3倍以上食道癌になるリスクが高く、喫煙本数と喫煙期間に比例してリスクが高くなると言われます。

食道の慢性炎症

胃酸逆流などによる食道の炎症が長期間続くと、食道がんのリスクが高まることがあります。

高齢

高齢者は、食道がんの発症リスクが高まることが知られています。

基礎疾患

肝硬変や慢性腎臓病などの基礎疾患がある場合は、食道がんのリスクが高まることがあります。

食道がんの予防

実際の胃カメラでの食道の画像

食道がんの予防には、上記にあげたリスクとなる因子を取り除くことと、バランスの良い食生活、適度な運動を心がけることが重要です。
また、定期的な検査を行うことが早期発見につながります。
当院では、食道がんの検診を希望される患者様には、早期の食道がんの発見も可能な胃カメラ検査を受けることをお勧めしております。当院では麻酔を使って眠ったままの胃カメラ検査が可能です。詳しくは当院医師、スタッフまでお尋ねください。

診療費用

当院は全て保険診療です。
初診の診療費用は薬代を除き、およそ下記のようになります。(3割負担です)

尿検査のみ 2000円前後
エコー検査のみ 2500円前後
採血+尿検査 3500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5000円前後
胃カメラ 3500円前後

当院では、患者さん全員を番号でお呼びし、プライバシーにに配慮した診療を行っております。
経験豊かな専門医が患者さんに寄り添う診察を心がけておりますので、食道がんリスクが高く、食べ物が喉につかえる、声がかすれるなどの症状がある方は、大宮エヴァグリーンクリニックにお気軽にご相談ください。

この記事を執筆した人
久田裕也
医師 久田裕也

名古屋大学出身
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
内科認定医
肝臓、胆嚢、膵臓から胃カメラ、大腸カメラまで消化器疾患を中心に幅広く診療を行っている。

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