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前立腺がん

前立腺癌と聞くとみなさんどんな病気をイメージするでしょうか。
有名人が公表した、進行が遅いと言われている、ロボット手術が有名と聞いたことがある、など聞いたことあるイメージを思い浮かべますよね。
このページをご覧になる方は、泌尿器科で前立腺癌と申告された、PSAの値が健康診断で高かったから気になった、知り合い・身内が前立腺癌になったから等々、様々な背景があることと思います。
このページで前立腺癌についての現状から治療まで網羅的に書かせて頂きました。最新のガイドラインと私の経験をもとに書かせて頂いております。皆さんの前立腺癌に対する理解の助けになったら幸いです。

◆目次◆

1 前立腺癌の現状
2 前立腺癌にかかっても長生きできる理由
3 前立腺癌のリスク
4 前立腺の役割
5 前立腺肥大と前立腺癌の違い
6 前立腺癌の検査
7 PSAが高いと指摘されたら
8 前立腺癌の治療
 8.1 PSA監視療法
 8.2 手術療法
 8.3 放射線療法
 8.4 ホルモン治療
 8.5 重粒子線療法

前立腺癌の現状

もともと、白人や黒人などの欧米の男性に前立腺がんは多いとされていました。アメリカでは現在、前立腺癌の罹患者数(前立腺癌にかかった方の数)は1位で前立腺癌の死亡者数は2位です。日本の男性の前立腺癌の罹患者数(前立腺癌にかかった方の数)は現在胃癌に次いで2位ですが、2020年以降は前立腺癌が1位になると言われてます。

それに対して現在日本の前立腺癌の死亡率は男性で6番目です。

アメリカ、日本ともに罹患者率と死亡率に開きがあります。前立腺癌になる方は多いのに死亡する方は少ない、そんな印象を持たれるかと思います。このデータを読むと前立腺癌は癌と診断されてもお亡くなりになることはそんなにないのではないかと想像出来ますよね。

前立腺癌にかかっても長生きできる理由

では何故前立腺癌は長生きできるのでしょうか。

その原因は各地方自治体が行なっているPSA検診などや個人的な人間ドックなどで早期発見が行われていること、男性ホルモンを抑制すること(一般的にはホルモン療法と呼ばれてます)による治療方法がほぼ確立されているからです。PSAについてはPSAのみのページを設けてますのでそちら(PSA前立腺特異抗原)をご覧ください。

また長生き出来る理由として、前立腺癌の進行が基本的に非常にゆっくりなことが挙げられます。驚くべきことに前立腺癌とは関係なくお亡くなりになった方の死後の解剖をしたところ、3人に1人に前立腺癌が見つかったというデータもあります。それらの前立腺癌はその方の死には何も影響せずに静かに存在していたのです。つまり前立腺癌が見つかったとしても治療が不要な場合が非常に多くあるということになります。それが治療不要な前立腺癌なのか治療が必要な前立腺癌なのかは泌尿器科の専門医がガイドラインに基づき見極めなくてはいけません。ですが知識として直接的な治療が不要な前立腺癌が非常に多くあるたいうことは知っておいて頂いた方が良いと思います。手術治療が不要なのにも関わらず手術をしている患者様は非常に多くいるように感じます。豊富にいろんな情報に触れられる時代だからこそ、自分の病気については詳しくなって担当する医師と向き合いましょう。

前立腺癌のリスク

前立腺癌のリスクは加齢、遺伝、食生活の欧米化と言われてます。
前立腺がんは60歳代以上で急激に増加します。なので高齢化社会の現代では前立腺癌の患者様が増加しているのです。
前立腺癌にかかった方が血縁者でいる場合、前立腺癌にかかるリスクが倍になると言われます。もし血縁者で前立腺癌の方がいる場合は40歳からのPSA検診が推奨されてます。PSA検査は基本的な健診や人間ドックには含まれていないことが多いです。なのでご自身でオプションでPSA検査をつけるということになります。

前立腺の役割

そもそも前立腺とはどのような臓器なのでしょうか。

前立腺はこの図の通り尿道の周囲にあるくるみ大の臓器です。役割としては精液の一部である前立腺液を作っていることだけです。
前立腺は肥大や癌になることで尿道や膀胱を圧迫し悪影響を与えます。前立腺は病気になるだけの憎たらしい臓器なのです。なので切除したとしても基本的に大きな影響はないと言われてます。

前立腺肥大と前立腺癌の違い

前立腺は内腺組織と外腺組織から成り立っております。内腺は尿道の周囲にあり、外腺はその外側にあります。つまり尿道に直接接しているのは内腺で、外腺は尿道にほとんど影響を与えません。
前立腺肥大症は内腺が大きくなる病気で、前立腺癌は基本的には外腺から発生する癌です。
なので、前立腺肥大症は内腺が肥大し尿道を圧迫するため排尿症状が早期に出ます。
それに対して前立腺癌は尿道への影響も少なく、症状が出るのが遅いです。なので定期的なPSA健診が必要なのです。

前立腺癌の検査

前立腺癌の検査の方法は、やはりまずPSA採血です。
PSAが高値だった場合(基本的には正常値の上限の4を上回る場合)、MRI検査を行います。画像で前立腺を確認し、中に癌を疑うのか全て正常組織なのかを判断します。
MRIで前立腺癌が疑われた場合は、前立腺の生検をします。

生検とは直接前立腺の組織を採取することです。採取した組織を顕微鏡で見て、中に癌細胞があるかないかを判断します。近年は12本の組織生検を行う施設が多くなっております。

前立腺生検は入院して行う施設が多いです。検査後に前立腺に炎症が起きたり、腫れて尿が出なくなることがあるからです。入院施設との連携がある場合は外来で行うクリニックなども増えてきてます。
最近はお尻から超音波の機械を入れて前立腺の組織を見ながら生検する検査の仕方が主流です。
直腸を介して前立腺の生検をするため経直腸前立腺生検と呼ばれます。

PSAが高いと指摘されたら

健康診断などでPSA(前立腺特異抗原)の数値が高いと指摘されたらまず最寄りの泌尿器科を受診しましょう。泌尿器科専門医のいるクリニック・病院が良いと思います。そこで再検査をし必要ならMRIや更には前立腺生検までの予定を立てます。

当院は毎日必ず泌尿器科専門医がいるようにしております。是非お気軽にご相談ください。

前立腺癌の治療

PSA監視療法

現在は前立腺癌と診断されたとしても、積極的な治療は行わず、PSAを定期的に採血するだけの、PSA監視療法という方法もあります。

先述の通り、前立腺癌の中でも本当に治療をしなければいけない前立腺癌と、寿命には影響しない前立腺癌があります。その違いを見極めるためにもこのPSA監視療法は有用です。前立腺癌と診断をされた後に定期的にPSA採血を行い、上昇傾向があれば後述するような放射線や手術、ホルモン治療に移行します。

手術療法

手術療法には、ロボットを使用したロボット支援下手術、腹腔鏡を使用した手術、お腹を開けて行う従来の開腹手術があります。
がんに対しての再発などの成績は変わらないようですが、手術後の合併症の率に関してはロボットを使用した手術に関して合併症が低いというデータが出ております。主な合併症は尿漏れです。

また、出血量に関しては開腹手術が圧倒的に多いです。
腹腔鏡手術やロボット支援下手術では目立った出血はあまり見られません。

以上のことから、手術をするのであればロボット支援下手術が出来る施設を当院からは勧めることが多いです。

また、全ての手術に勃起不全の合併症が高率で発生します。

放射線療法

放射線を使用した治療も行われてます。
放射線を前立腺に照射することで前立腺癌をやっつけるのです。
放射線療法の良い点はやはり手術と違い傷がつかないことです。
治療成績も手術療法と同等だと言われております。
合併症としてあげられるのは、勃起不全や直腸障害、膀胱障害、皮膚障害です。
これらは放射線が前立腺以外の部位にも当たってしまい、正常な組織を破壊することで起こります。

ホルモン療法

そして前立腺がんで特徴的な治療が先述したホルモン療法です。前立腺癌は男性ホルモンに依存して成長するため、男性ホルモンを抑える内服薬や注射を打つことで前立腺癌の進行を抑えます。
75歳を超えたご高齢の方には特にこの治療が適していると思われます。
一般的な抗がん剤と違い副作用もほとんどないため、しっかり継続することができ、かつ癌を十分に抑えることが出来るのです。
その方の年齢や生活強度などを加味した治療が大切です。
ホルモン療法の主な副作用は火照り、女性化乳房、筋力低下、などが挙げられます。

重粒子線治療

保険適用外ですが、最近は重粒子線を用いた治療も行われてます。非常に高額で施設によりますが100万円〜数百万円程かかります。

重粒子線治療の特徴としては、癌細胞を集中して攻撃してくれるため周辺臓器への合併症が少ない。また、十分な成績は出揃ってませんが高い治療効果が発表されてます。

 

前立腺癌の早期発見のために、市健診や会社の健診でのPSA採血が大切です。
PSA高値を指摘された方、前立腺がんが気になる方は当院泌尿器科までご相談下さい。

現在当院では徹底した新型コロナウイルス感染対策をしながら診療を継続しております。

またオンライン診療も行っております。
全国どこからでもオンライン診療は可能です。泌尿器科、消化器科、内科でお悩みの方は是非上記のリンクか下部のバナーよりご相談下さい。

今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

消化器科(胃カメラ)・泌尿器科・内科・人間ドック
大宮エヴァグリーンクリニック 院長 伊勢呂哲也

院長コラム「前立腺癌の市民公開講座」

 

 

 

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