つらい頻尿を自力で改善する方法6選
はじめに
「何度もトイレに行くだけ」と軽く考えられがちな頻尿ですが、実際に悩まれている方にとってはとても深刻な問題です。夜中に何度も目が覚めて眠れない、外出や旅行が不安になる、人前でトイレが気になって集中できない…。こうした状況は生活の質を大きく下げてしまいます。
さらに、何度もトイレに行っている自分を責め、自己否定につながってしまう重大なケースも少なくないのです。
そこで今回は、 自宅にいたままできる「頻尿を改善する6つ の方法」を詳しくご紹介させていただきます。頻尿に悩む方々がこの記事をご覧になり、体や気持ちが少しでも楽になれたとしたらとても嬉しく思います。
頻尿とは
医学的には「日中に8回以上排尿がある」場合を頻尿と定義します。ただし回数だけでなく、夜間に何度も起きる夜間頻尿や、急にトイレに行きたくなる切迫性の尿意がある場合も頻尿に分類されます。
背景には膀胱や前立腺のトラブルだけでなく、糖尿病や腎臓の病気など、思いもよらない疾患が隠れていることも多いのです。頻尿は単なる「加齢のせい」や「癖」「神経性」と見過ごされがちですが、実は体からの重要なサインである場合があるのです。
だからこそ、症状が軽いうちからきちんと向き合うことが大切です。
「トイレが近いな」と感じたときに生活を見直す・記録をつける・医療機関に相談するなど、早めに対応することで、重大な病気の早期発見や進行防止に繋がる可能性があります。
それでは、ご自宅で簡単に取り入れられる 6つの頻尿改善方法 をご紹介していきます。
つらい頻尿を自力で改善する方法① 膀胱訓練
膀胱は水風船のように膨らむ臓器で、少しずつ練習することで「もっとためられるんだ」と体が覚えていきます。
そこで、尿意を感じたら すぐにはトイレに行かず、まずは5~10分だけ我慢することから始めてみましょう。
最初は大変に感じても、膀胱の容量は徐々に増えていき、多くの方が「トイレに行く回数が減った」と実感できるようになります。たとえば、100mLで尿意を感じていた方が150mLまでためられるようになると、それだけで排尿の回数は3分の2に減ることになります。ただし、無理に我慢しすぎると膀胱炎の原因になるため、あくまで「少し待つ」ことを繰り返すのが大切です。
つらい頻尿を自力で改善する方法② 骨盤底筋体操
骨盤底筋は膀胱や尿道を下から支える大切な筋肉です。この筋肉がしっかり働いていると、尿をためる力や排尿をコントロールする力が保たれます。ところが、加齢や出産、肥満、運動不足などによって筋肉が緩んでしまうと、尿道をしっかり締められなくなり、その結果、頻尿や尿もれを引き起こすようになります。特に女性は出産やホルモンの影響で筋肉が弱まりやすく、男性は加齢や前立腺肥大による影響が加わるため、誰にでも起こり得る問題です。そんな骨盤底筋を鍛える方法をご紹介します。
【骨盤底筋体操の方法】 ① 椅子に座るか、膝を立てて仰向けになり、力を抜いてリラックスする ② 肛門や尿道、膣を「キュッ」と締め、そのまま5秒キープ ③ ゆっくりと力を抜いて5秒休む ④ 10回で1セット、1日3セットを目標 |
✅ トイレで排尿や排便を途中で止めるときの筋肉を意識すると分かりやすいです。
✅ 数週間の継続で尿意のコントロールがしやすくなり、切迫感の改善や尿もれ予防に繋がります。
✅ 通勤中や家事の合間でもできるので、習慣化しやすいのも魅力です。
つらい頻尿を自力で改善する方法③ 体重管理(痩せる)
肥満は膀胱を上から圧迫し、尿をためられる量を減らしてしまいます。さらに骨盤底筋に負担をかけて筋力低下を招きます。BMIが27以上になると、頻尿リスクは1.5~2倍に上昇することが分かっています。(身長165㎝の場合、体重は約73.7kg)
改善のためには、毎日の食生活を少しずつ見直し、軽い運動を生活の中に取り入れることが大切です。内臓脂肪が減ってくると膀胱への圧迫が軽くなり、尿意の改善につながります。
【メディカルダイエットも効果的】
大宮エヴァグリーンクリニックではGLP-1受容体作動薬を用いたダイエット治療 を行っています。(マンジャロ・オゼンピック・リベルサス)
GLP-1は食欲を自然に抑え、満腹感を持続させる作用があるため、無理な食事制限や激しい運動をせずに減量をサポートできます。体重が落ちることで膀胱への圧迫が軽くなり、頻尿の改善が期待できるだけでなく、基礎代謝が上がり、太りにくい体質づくりにもつながります。健康的な減量は生活習慣病の予防にも効果的です。
つらい頻尿を自力で改善する方法④ 水分摂取の調整
「とにかく水分はたくさん飲んだほうが健康に良い」と思って、過剰に摂取している方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、摂りすぎは当然、頻尿を悪化させる原因になります。尿の色が薄い黄色程度であればちょうどよく、無色透明であれば飲みすぎ、逆に濃い黄色であれば不足気味のサインと考えてください。一般的には一日に1.5~2リットル程度の水分摂取が目安とされていますが、体格や活動量によって必要量は変わります。特に夜は就寝の2時間前から水分を控えることで、夜間頻尿の改善につながります。ただし、夏場や運動後は脱水を防ぐことも大切ですので、控えすぎないようにバランスを意識することが必要です。
つらい頻尿を自力で改善する方法⑤ 膀胱を温める
膀胱は冷えると血流が悪くなり、機能が落ちてしまいます。冬や冷房の効いた環境で頻尿が悪化するのはそのためです。対策としては、腹巻きやカイロで下腹部を温めたり、足湯や入浴で全身を温めたりすることが有効です。冷え性の方は日常的にブランケットや衣類で腰回りを保温する工夫もおすすめです。体を温めることで血流が良くなり、膀胱の「ためる力」が高まります。特に「冬になるとトイレが近くなる」という方には、即効性を実感しやすい方法です。
つらい頻尿を自力で改善する方法⑥ アルコール・カフェイン・辛い食べ物を控える
コーヒーや緑茶、紅茶、そしてアルコールには利尿作用があり、尿の量を増やしてしまうため頻尿を悪化させる原因となります。また、唐辛子などの辛い食べ物は膀胱を直接刺激して尿意を強めてしまいます。そのため、症状が気になるときはカフェインレスコーヒーや麦茶、ルイボスティーに切り替えたり、ノンアルコール飲料を利用したり、辛い料理を控えめにすることで改善が期待できます。好きなものを完全にやめる必要はありませんが、量を調整するだけでも症状が和らぐ方は多くいらっしゃいます。
排尿日誌をつけてみましょう
自分がどのくらいの量で尿意を感じているか、1日何回トイレに行っているか、1回の尿量はどのくらいかを客観的に知るために、『排尿日誌』をつけることをおすすめします。
【記録する内容】 ① 排尿の時間 ② 排尿量(計量カップや専用容器で計測) ③ 尿意の強さ(弱い/普通/強い) ④ 飲んだ水分量 |
数日記録するだけで「自分は1回の尿量をしっかり溜められるタイプか」「十分たまっていないけれど頻繁に行ってしまうタイプか」が分かります。
ご来院時にこの排尿日誌を持参いただくと診察にも役立ち、より適切な治療につながります。
まとめ
頻尿は「年齢のせい」と片付けられがちですが、実際には日常生活の質を大きく下げる深刻な問題です。今回ご紹介した膀胱訓練や骨盤底筋体操、体重管理やGLP-1ダイエット、水分の調整、膀胱を温める工夫、アルコールやカフェイン・辛い食べ物を控える方法、そして排尿日誌で自分の状態を把握することなどは、どれも特別な道具を必要とせず、誰でも取り入れやすい工夫です。これらの方法は簡単にできるにもかかわらず、実践することで頻尿の改善につながる可能性が大いにあります。何もせずに悩み続けるよりは、まず試してみる価値のある方法といえるでしょう。それでも改善が見られない場合や、血尿・痛み・急な症状の悪化がある場合には、大きな病気が隠れている可能性もあります。そうしたときには医療機関を受診し、必要に応じて処方薬を用いることで改善が得られることもあります。
大宮エヴァグリーンクリニックでは泌尿器科専門医による頻尿のご相談が可能です。安心して生活できる毎日を取り戻すお手伝いをいたしますので、一人で抱え込まず、どんなことでもご相談ください。

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。