頻尿とボンタンアメの意外な関係?真相をチェック
1 頻尿ってどんな状態?
日中の排尿回数が多い、あるいは夜中にトイレで目が覚める回数が増えてきた…。そんな症状は「頻尿」にあたります。
医学的には、日中は8回以上の排尿で頻尿とされ、夜間は1回以上の排尿で夜間頻尿と呼びます。特に夜間2回以上となると、睡眠が分断され、日中に眠気が出たり、体がだるくなったり、仕事や勉強に集中できなくなることもあります。
頻尿の原因は多岐にわたります。膀胱や前立腺の疾患、糖尿病や心不全、薬の副作用、加齢による膀胱機能の低下などが代表的です。また、過剰な水分・カフェイン摂取も要因となります。さらに、映画館や授業中、電車での移動中など、すぐにトイレへ行けない状況で尿意が襲ってくると、生活の質を大きく損なうことにもつながります。
2 ボンタンアメで頻尿が改善?ネットで広まる噂の真相
SNSや口コミの中で、「ボンタンアメを食べてからトイレの回数が減った」という声を見かけることがあります。
ボンタンアメといえば、鹿児島名物の文旦(ボンタン)の風味を活かしたやわらかい飴菓子。薄いオブラートで包まれており、そのまま食べられるユニークなお菓子としても知られています。
では、このお菓子が本当に頻尿の改善に役立つのでしょうか?
医学的には、ボンタンアメに排尿回数を直接抑えるような効果を示す証拠は確認されていません。ボンタンに含まれるビタミンCやクエン酸は、抗酸化作用や疲労回復効果が期待される成分ですが、膀胱の働きや尿の生成をコントロールする作用は明らかになっていません。さらに、糖分を多く含むため、糖尿病や血糖値が気になる方は摂取量に注意が必要です。
それでも「改善した気がする」という感想が出る理由はいくつか考えられます。例えば、甘いお菓子を口にすることで気持ちが落ち着き、副交感神経が優位になって膀胱の過敏な反応がやわらぐ場合があります。また、間食によって水分摂取量が減り、その結果として尿量が少なくなることも考えられます。こうした変化は人によって異なり、全ての方に効果があるとは言えません。
3 まとめ
頻尿が続く場合、背景には膀胱炎、過活動膀胱、前立腺肥大症、糖尿病などの病気が隠れていることもあります。ネット上の面白い話題は参考程度にとどめ、気になる症状がある場合には早めに医療機関で相談することが何より大切です。

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。