メニュー

糖尿病の⾎糖値を下げる簡単な3つの⽅法

[2023.10.11]

1.はじめに

糖尿病の患者様の数は世界的に増えており、⽇本も例外ではありません。

厚⽣労働省によると令和 1 年の調査として「糖尿病が強く疑われる⼈」の割合は男性 19.7%、⼥性 10.8%という数字を発表しています。なんと男性の約 5 ⼈に 1 ⼈、⼥性の約 10 ⼈に 1 ⼈に糖尿病が強く疑われるという驚くべき数字となっています。
また、糖尿病の原因は多岐に渡りますが、そのひとつとして加齢が挙げられており、⽇本は平均寿命 84.3 歳という世界⼀の⻑寿国でもありますので、超⾼齢化に伴って糖尿病の患者様の数も増加し続けると予想されています。

2. 隠れ糖尿病の割合

糖尿病を世界基準で⾒ていきましょう。
国際糖尿病連合(IDF)が発表した推計によると世界中の成⼈のうち 10 ⼈に 1 ⼈が糖尿病に罹患しているにも関わらず、ほぼ半数(44.7%)がまだ糖尿病と診断されていない、「未病」の状態だとしています。


そのため、この隠れ糖尿病の⽅に対して有効な対策をして発病を防ぐことと、既に糖尿病と診断されている⽅の合併症の発症や進展を阻⽌する事が何より⼤切と考えられます。

3. 糖尿病を撃退するための 3 つの⽣活習慣

未病の状態なのに治療が必要なの?と思われる⽅もいらっしゃると思います。もちろん服薬や注射などの医療的な治療は必要ありません。
これからお話しする「⾎糖値を下げるための3つの⽣活習慣」を取り⼊れてみてください。
これを実践することにより糖尿病の予防や合併症予防に繋がり、ひいては⾼⾎圧や脂質異常症などの⽣活習慣病予防にも繋がります。
今回のお話は糖尿病治療ガイドライン 2022-2023 を参考に、論⽂やエビデンスに基づいてお話しさせていただきます。

3-1. ⾷⽣活の改善

2015 年、アメリカの医学雑誌ニュートリションに掲載された研究では「低糖質の⾷事が糖尿病患者の⾎糖値管理に効果的」と発表されています。
これは具体的には下記のような内容になります。

  1. 糖質の量を減らし、繊維質が豊富な野菜や果物を摂取
  2. ⿂・⾖腐・鶏⾁など、⾼品質のタンパク質を摂取
  3. オリーブオイル・ナッツ・アボカドなど、良質な油の摂取
  4. ⾷間隔を適切に設定する

①の⾷物繊維については、合併症予防のためには 1 ⽇ 20g 以上摂取する事が効果的と⾔われています。
⾷物繊維には⾷後の⾎糖値の上昇を抑える作⽤が認められるほか、⾎中コレステロールの増加予防、便秘解消効果も認められています。
また、④の⾷間隔を適切に設定するということについては、⽇によって⾷事の時間をまちまちにするのではなく、規則正しい⾷⽣活をして毎⽇決まって同じ時間に⾎糖値を下げるホルモンの「インスリン」が分泌されるようにすることが⼤切という訳です。
1 ⽇3⾷の⽅なら3回、1 ⽇2⾷の⽅なら 2 回、⾷事をする時間を同じにするようにしていきましょう。

 

規則正しい⾷事をしていても、仕事や勉強、家事の合間に⼀息つきたい時もありますよね。
そんな時の間⾷にはスナック菓⼦を控え、低カロリー低糖質のフルーツ(イチゴ・ブルーベリー・ラズベリー・キウイなど)・ナッツ・⾖腐などを⾷べることがお勧めです。
また、間⾷の際は満腹になるまで⾷べるのではなく、空腹を満たす程度の量を⾷べるように⼼がけましょう。

3-2 運動する

2016年、アメリカで発表された研究では、「適度な運動は糖尿病患者の⾎糖値管理に役⽴つ」という結果が発表されています。
ここでいう適度な運動とは下記のことを指します。

  1. 週 150 分以上の有酸素運動(ウォーキング・⽔泳・⾃転⾞)
  2. 週 2〜3 回の筋⼒トレーニング
  3. 運動前後にストレッチなどのエクササイズ
  4. ⽇常⽣活の活動量を増やす

これを聞くと「⾃分には無理」と思われる⽅も多いと思います。
毎⽇の仕事や家事の時間の中に追加して、さらに運動の時間を確保するということは容易ではありませんよね。
特に今まで全く運動をしなかった⽅がいきなり運動を始めても⻑続きはせず、⾃分を責めてしまうことにも繋がってしまいます。

そこで、「いつもの⽣活にプラスしてできる運動」を⼼がけてみてはいかがでしょうか。
例えば、駅ではエスカレーターを使わず階段を使う、ひと駅分歩く、休憩時間の半分を散歩の時間にあてる、休⽇には 30 分だけでも散歩をする、テレビを観ながらダンベルを持つ、バランスボールを使うなどです。
たとえ短い時間でも、体を動かすことはとても気持ちが良いもので、ストレス解消にも繋がります。運動することが「気持ちの良い時間」と⾃分で思えるようになったら運動する事が習慣づきやすくなるかもしれません。

3-3 ストレスを溜めない

ストレスも糖尿病の原因となります。ストレスを感じると交感神経が活発になり、⾎糖値が上昇しやすくなってしまうのです。
加えて⾎糖値を下げるホルモンの「インスリン」に対する感受性が鈍くなってしまうため、糖尿病に結びつくと⾔われています。

2010 年、オランダのティルブルフ⼤学の研究では糖尿病の原因のひとつとしてストレスを挙げ、「効果的なストレス解消法」として下記の 6 つを挙げています。

  1. 定期的な深呼吸や瞑想をする
  2. スポーツなどの趣味を持つ
  3. 適切な睡眠環境を整える
  4. 友⼈、家族とのコミュニケーションをとる
  5. 過密な時間管理を避ける
  6. 必要に応じ、カウンセラーに相談する

ストレス社会と⾔われる現代において、「ストレスを全く感じない環境」というのは難しいかも知れません。
そこで、そのストレスをどのように捉え、どのように対処していくかが⼤切になります。
まず上記のような⽅法を試し、それでも解消しない場合には無理せずに産業医やカウンセラーに相談し、1 ⼈で抱え込まないことが⼤切です。

4. まとめ

糖尿病は⽣活習慣病によるところが⼤きいですので、私たちの理解と⾏動で発症を予防したり、既に治療中の⽅は合併症を予防したりすることが可能です。
今回は⽇常の⽣活習慣の中で⾎糖値を下げられる3つの⽅法を紹介させていただきました。
これらを全て実践する事が⼤切なのではなく、今まで全く運動してこなかった⽅が運動するようになったり、毎⽇バラバラの時間に⾷事を摂っていた⽅が規則正しい時間に⾷事をするようになったり、是正するするべき習慣がある場合はそれに気づき、習慣を変えていく気持ちが糖尿病予防や⾎糖値を下げることに繋がります。

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME