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夜間頻尿の原因と5つの改善策

[2025.08.08]

はじめに

「夜中に何度もトイレに起きてぐっすり眠れない」そんなお悩みを抱えていませんか?実はこのような症状は「夜間頻尿」と呼ばれ、50歳以上では2⼈に1⼈が抱える⾮常に⾝近な問題です。「たかが何度もトイレに⾏くだけでしょ」と軽く⾒られがちですが、睡眠の質が下がることで、疲労感や集中⼒低下、さらには寿命の短縮に繋がるというデータも出ています。さらに、夜間の暗い中にトイレへ起きることでバランスを崩し、転倒や⾻折などの重⼤なリスクに繋がる可能性もあるのです。
この記事では、夜間頻尿の原因とその改善に向けた「5つの⽅法」をご紹介させていただきます。⽣活習慣を少し⾒直すだけで、1晩にトイレに5回起きていた⽅が、0回または1回にまで改善するケースも珍しくありません。

 

1. 夜間頻尿とは?

「夜間頻尿」とは、夜間の睡眠中に1回以上排尿のために起きることを指します。
意外に思われるかもしれませんが、1回でも起きると夜間頻尿と定義されます。ただし、医学的には2回以上起きる場合に「病的」とされることが多く、睡眠が妨げられ、⽇中の活動に悪影響を感じる⽅が多くなっています。

2. 「2⼈に1⼈」が悩んでいる夜間頻尿

夜間頻尿は加齢とともに増加し、50代以上の⽅の2⼈に1⼈が該当するというデータがあります。
実際に⽇々診療をしていると、夜間頻尿のお悩みはご本⼈にとってはとても深刻です。
本来なら疲れた⾝体と脳を休ませるため、夜間はぐっすりと眠りたいのに、5回、8回と何度も起きてしまうことで睡眠が分断され、⽣活の質(QOL)が著しく低下してしまいます。
しかしこの夜間頻尿、実はいくつかの⽣活習慣を整えるだけで、⼤きく改善する可能性もあるというのをご存知ですか。

3. 夜間頻尿の主な原因は?

夜間頻尿の原因は主に2つに分けられます。

3-1 膀胱容量の減少

膀胱の容量が減少する原因には、加齢による筋⼒の衰えや、過活動膀胱前⽴腺肥⼤、神経の異常などがあります。これらにより膀胱の柔軟性が低下し、少量の尿でもトイレに⾏きたくなるため、夜間頻尿が起こりやすくなってしまうのです。
こうしたタイプの頻尿は、⽣活習慣の⾒直しだけでは改善が難しい場合が多く、早めに泌尿器科を受診し、薬や専⾨的な治療を検討することが重要です。

3-2 夜間多尿

実際には、⾼齢者の夜間頻尿の多くが「夜間多尿」に分類されます。つまり、膀胱が悪いのではなく、寝ている間に必要以上に尿が作られてしまうことが原因なのです。
とくに加齢により、尿を濃縮するホルモン(抗利尿ホルモン)の分泌が低下し、夜間でも昼間と同じように尿が作られてしまうのです。また、加齢に伴って腎臓の働きも徐々に低下し、体内の⽔分バランスを調整しにくくなるため、夜間の尿量が増えてしまいます。
このほか、⽣活習慣や運動不⾜、⻑時間の座位、⽇中の⽔分摂取の偏り、さらには服⽤している薬の影響(降圧剤や利尿薬)なども夜間多尿を悪化させる要因となります。

4. 夜間頻尿を改善する5つの⽅法

4-1 寝る4時間前からの⽔分制限

夜間頻尿を減らすためには、⼣⽅以降の⽔分摂取量の調整が重要です。
例えば、22時に就寝する⽅であれば、18時以降の⽔分はコップ1杯程度(200cc)に制限するだけで、平均して1.5回程度のトイレ回数が減るという研究結果もあるのです。
喉が渇くという⽅は、就寝の4時間以上前にしっかり⽔分をとっておくことがポイントです。

4-2 塩分摂取を減らす

塩分の摂りすぎは体内に⽔分を引き込みやすく、尿量の増加に直結します。これは、体内のナトリウム濃度が⾼くなることで、浸透圧の関係から体が⽔分を保持しようとするためです。結果として⾎液量が増え、腎臓が余分な⽔分を排出しようとするため、尿量が増えるのです。
実際に、1⽇の塩分摂取量を6g以下にしたところ、夜間の排尿回数が2回減少したという研究もあります。
カリウム⼊りの塩(減塩タイプの⾷卓塩など)に切り替えるのもおすすめです。

4-3 カフェインとアルコールを控える

カフェインやアルコールは、いずれも利尿作⽤が強いため、寝る前に摂取すると尿の量が増えてしまいます。
さらに、カフェインは膀胱を刺激して尿意を強める作⽤もあるため、⼣⽅以降はカフェインレスやノンアルコール飲料に切り替えるのが理想的です。

4-4 薬の⾒直し

意外と知られていないのですが、⾼⾎圧や⼼疾患の治療で処⽅される「カルシウム拮抗薬(アムロジピン・ノルバスクなど)」や「利尿薬」は、夜間の尿を増やす副作⽤があることが知られています。
お薬によっては朝飲んでも夜の排尿回数が増えることもあるため、気になる⽅は⼀度、主治医に相談してみましょう。

4-5 ⾜のむくみをケアする

⼣⽅に⾜がむくみやすい⽅は、その⽔分が寝ている間に尿として再吸収され、夜間多尿につながっている可能性があります。
対策としては、⼣⽅に軽く⾜を⾼くして休んだり、着圧ソックスを着⽤することで、むくみによる余分な⽔分の再吸収を抑え、夜間の尿量を減らすのに効果があり、私の外来でも実際に試していただいた⽅の多くが効果を実感されています。

5. まとめ

夜間頻尿は「年のせい」とあきらめてしまう⽅が多いのですが、正しく原因にアプローチすれば、回数を減らすことが可能ですので、今回ご紹介した5つの⽅法をぜひ実践してみてください。夜間頻尿が改善され、ぐっすり眠れるようになるためには、⼀度は試してみる価値はあるのではないでしょうか。
それでも改善しない場合は、泌尿器科での検査や治療をおすすめします。お薬で尿量を減らしたり、膀胱の働きをサポートしたりする治療法もありますので、お気軽にご相談ください。

6. 大宮エヴァグリーンクリニックでは

大宮エヴァグリーンクリニックでは、夜間頻尿過活動膀胱前⽴腺肥⼤症など排尿に関するあらゆるお悩みに対応しています。
また、待合室にはパーテーションを設け、プライバシーに配慮した空間作りを徹底しています。泌尿器科受診に不安を感じる⽅にも、安⼼してご来院いただけるような環境を整えております。
「夜トイレが近くて困っているけれど、病院に⾏くのは恥ずかしい」そんなお気持ちをお持ちの⽅こそ、ぜひ⼀度当院にお気軽にご相談ください。

この記事を執筆した人
伊勢呂哲也
伊勢呂哲也

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。

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