糖尿病を悪化させる!? 隠れた習慣ワースト⑤ 〜糖尿病再生医療という新しい治療法もご紹介〜
はじめに
糖尿病は「万病のもと」と言われるほど、全身の健康に大きな影響を及ぼす病気です。血糖値が高い状態が続くと、血管や神経が徐々に傷つき、心筋梗塞や脳卒中、腎不全、失明といった深刻な合併症へと繋がってしまいます。。
怖いのは、原因が甘い物や食べすぎだけではないという点です。一見すると健康的に思える習慣の中にも、実は血糖コントロールを大きく乱し、糖尿病を悪化させてしまう要因が潜んでいるのです。
日本では成人の約6人に1人が糖尿病またはその予備群とされ、誰にとっても身近な病気です。今回は、意外と見落とされがちな「糖尿病を悪化させる隠れた習慣ワースト5」を、具体的なデータとともに解説させていただきます。
糖尿病とは
糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高い状態になる病気です。ブドウ糖は本来、私たちの体を動かす大切なエネルギー源ですが、血液中に余分に残ってしまうと、逆に全身の組織や臓器を傷つける原因となります。通常は食事で摂取した糖を、膵臓から分泌されるインスリンが細胞に取り込み、エネルギーとして利用します。しかし糖尿病では下記のような異常が生じ、血糖が下がりにくなります。
① インスリンの分泌が不足する
②インスリンが効きにくい(インスリン抵抗性)
その結果、初期には自覚症状がほとんどないにもかかわらず、気づかないうちに血管や神経が蝕まれていきます。進行すると、視力障害(糖尿病網膜症)、腎臓の働きが落ちる(糖尿病性腎症)、しびれや潰瘍(糖尿病性神経障害)といった合併症を引き起こし、最悪の場合は透析や失明に至ることもあります。
つまり糖尿病は「血糖が高いだけの病気」ではなく、全身の健康に連鎖的な悪影響を及ぼす慢性疾患なのです。
だからこそ、早期の生活改善と継続的な治療が欠かせません。
糖尿病を悪化させる悪習慣① 加工肉の食べすぎ
ベーコンやソーセージ、ハムなどの加工肉は手軽に食べられ、非常に便利ですが、糖尿病のリスクを高めてしまう食品です。
✅ ハーバード大学の研究では、1日50g(ベーコン2枚、ソーセージ1本程度)の加工肉を毎日食べると、糖尿病リスクが約20%上昇すると報告されています。
✅ 加工肉に多く含まれる塩分は高血圧を招き、血管内皮を傷つけます。その結果、インスリンが効きにくい状態を引き起こします。
✅ 加工肉に含まれる飽和脂肪酸は体内で炎症を引き起こし、インスリン抵抗性を悪化させます。さらに、保存料や着色料などの添加物は腸内環境を乱す要因とも考えられています。
「毎朝ベーコンエッグを食べている」「お弁当にソーセージを欠かさない」
このような習慣に心当たりがある方は、量を減らしたり、回数を減らしたりして工夫していきましょう。
糖尿病を悪化させる悪習慣② 飲酒
お酒は適量であればリラックス効果もありますが、過剰な飲酒は糖尿病の大きなリスク因子です。
✅ 大量飲酒をする人は、糖尿病リスクが40%以上上昇することがデータで示されています。
✅ アルコールは膵臓にダメージを与えてインスリン分泌を低下させ、肝臓もアルコール処理を優先するため、糖代謝が後回しになり血糖が乱れやすくなります。
膵臓や肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、症状が出にくいまま障害が進行します。飲酒習慣がある方は、休肝日を設ける・飲む量を減らす・ノンアルコール飲料に切り替えるなど早めの対策が重要です。
糖尿病を悪化させる悪習慣③ ストレスと睡眠不足
あまり知られていませんが、慢性的なストレスや睡眠不足は、血糖コントロールを乱す代表的な要因です。
✅ ストレスが続くと「コルチゾール」というホルモンが分泌され、血糖を上昇させます。
✅ 睡眠不足もインスリンの効きを悪くし、さらに甘い物を欲しやすい体質に繋がります。
その結果「夜中に食欲が止まらない」「甘い物がやめられない」といった悪循環が起こりやすくなります。
深呼吸や軽い運動、ゆっくり湯船に浸かる、就寝前のスマホ利用を控えるなど、日常の小さな工夫でストレスを減らし、十分な睡眠を確保することが血糖安定に直結します。
糖尿病を悪化させる悪習慣④ 喫煙
タバコは糖尿病にとっても明確なリスクです。
✅ 喫煙者は非喫煙者に比べて糖尿病になる確率が36%高いことが示されています。
✅ ニコチンが交感神経を刺激して血糖を上げるホルモンを分泌させてしまうほか、血管内皮を傷つけてインスリンの作用を妨げます。
喫煙者は運動不足や肥満を合併しやすく、糖尿病リスクはさらに上がります。禁煙はあらゆる病気の予防になりますが、特に糖尿病にとっては即効性のある改善策です。
糖尿病を悪化させる悪習慣⑤ 日焼け
意外に思われるかもしれませんが、日焼けも血糖を乱す要因です。
✅ CDC(米国疾病対策センター)は、日焼けが血糖スパイク(急な血糖上昇)を引き起こす要因であると報告しています。
✅ 日焼けによる炎症は体にとってストレスであり、交感神経を刺激して血糖値を上げます。さらに体の疲労や代謝低下も重なり、血糖コントロールが乱れやすくなります。
日焼けした肌は見た目には健康的でも、実際には血糖に負担をかけている可能性があります。日常的に日焼け止めを使い、長時間の直射日光を避けることも糖尿病対策の一環です。
幹細胞治療という新しい選択肢
糖尿病の標準治療の基本は生活習慣の改善と薬物療法ですが、再生医療の発展により幹細胞治療という新たな選択肢も広がっています。
1 幹細胞とは
幹細胞とは、自ら分裂して同じ性質を保ちながら増える「自己複製能」と、特定の組織や臓器の細胞へと変化できる「分化能」を持つ特殊な細胞です。骨髄や脂肪、臍帯などに存在し、損傷部位へ集まる「ホーミング効果」や、周囲の細胞に働きかけ修復を促す「パラクライン効果」が知られています。これらの性質を活かし、整形外科や心血管、神経など多分野で応用が広がっており、再生医療や細胞治療の基盤として広く利用されています。
2 糖尿病への作用
幹細胞が糖尿病に対して働く具体的な仕組みは次の通りです。
✅ 成長因子(VEGF, IGF-1など)を分泌し、膵β細胞の炎症を抑え修復することでインスリン分泌が改善する
✅ 抗炎症作用によって肝臓・筋肉・脂肪組織の炎症を軽減し、細胞がインスリンに反応しやすい状態を取り戻すことで、インスリン抵抗性を改善する。
✅ 血管新生を促して膵臓や末梢の血流を改善し、糖代謝効率を高める
3 改善データ
これまでの臨床研究から、自己脂肪由来幹細胞治療を受けた糖尿病患者さんには次のような改善が報告されています。
✅ 平均的な効果
多くの報告では、HbA1cが0.5~1.0%改善し、空腹時血糖も低下。インスリンや内服薬を減量できた例もある。
✅ 海外での最大改善例
症例によっては、HbA1cが約2.0%低下し、空腹時血糖が100mg/dL以上改善。インスリン注射を中止できた患者もいる。
✅ 国内クリニックでの著効例
日本のクリニックの報告では、投与前HbA1cが10%だった患者さんが、半年後には6%台まで改善したケースもある。空腹時血糖が大幅に下がり、長年使用していたインスリン注射を完全に中止できた症例も報告されている。
もちろん、こうした劇的な改善は全ての患者様に当てはまるわけではありません。しかし、従来の治療で十分な効果が得られなかった患者様にとって、幹細胞治療は大きな可能性を秘めた新しい選択肢となり得ます。
当院での自己脂肪由来幹細胞治療
大宮エヴァグリーンクリニックでは「再生医療等の安全性確保法」に基づき、厚生労働省より再生医療等提供計画の認可を受け、自己脂肪由来幹細胞治療を提供しております。(計画番号PB3250129)
詳しい料金やご質問などございましたら遠慮なく下記電話番号までお問い合わせください。
幹細胞治療のお問い合わせ・ご予約専用電話番号 |
まとめ
糖尿病を悪化させる習慣は、必ずしも甘い物や食べすぎだけではありません。加工肉の摂りすぎ、大量飲酒、慢性的なストレスや睡眠不足、喫煙、そして日焼けといった一見見落としがちな習慣が、血糖コントロールを乱す原因になります。
これらをひとつひとつ見直すことで、糖尿病の発症や合併症の進行を防ぐことができます。そして従来の治療に加え、幹細胞治療という再生医療の新しい可能性も広がりつつあります。
糖尿病は「万病のもと」と呼ばれる病気ですが、正しい知識と適切な医療を取り入れれば、未来を変えることは十分に可能なのです。

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の外来診察を行なう。
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。
再生医療専門クリニックも運営