尿路結石・尿管結石の全てがわかる!
「尿路結石」と聞くと「痛みがすごい!」と思われる人が多いのではないでしょうか。
実際に尿路結石になったらどんな痛みなの?放っておくと腎機能が低下するってほんと?防ぐ方法ってあるの?など、今回の動画では「尿路結石」について詳しく解説していきます。
<目次>
1・尿路結石とは?
2・尿路結石の症状
3・尿路結石になる原因
遺伝
高血圧
糖尿病
高脂血症
水分不足
4・尿路結石の検査
尿検査
採血検査
レントゲン検査
超音波検査
CT検査
5・尿路結石の治療
保存的治療
体外衝撃波(ESWL)
経尿道的尿管結石破砕術
6・尿路結石治療のアドバイス
7・尿路結石を予防するには
水分をとる
生活習慣病に気をつける
シュウ酸の取りすぎに注意
尿酸値を上げない)
・まとめ
1・尿路結石とは?
腎臓に作られる石を腎結石と呼び、これが尿管に落ちてくると尿管結石になります。
さらにそれが膀胱に落ちてくると膀胱結石になり、尿道で詰まってしまうと尿道結石になります。
このように石ができる位置や場所によって腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と呼ばれ、これらの総称を「尿路結石」といいます。
2・尿路結石の症状
腎結石の場合には痛みはありません。それが尿管に落ちてくると、片方の腰、わき腹に非常に激しい痛みが出てきます。
両方に痛みがあることはほとんどありません。
「痛みの王様」と呼ばれ、人格をも変えてしまうほどの激しい痛みは何をしてもやわらぐことはありません。
例えば筋肉や骨の整形外科的な痛みであれば、腰をひねったり、ある方向に動かすと楽になったりしますが、尿路結石の痛みは何をしても変わりません。
痛みが24時間続くことはなく、12時間くらいでおさまります。
尿管結石が下に落ちてきて膀胱の近くまでくると、腰や脇腹の痛みに加えて残尿感、頻尿、排尿時痛といった膀胱刺激症状が出てきます。
さらに結石が膀胱まで落ちてきて膀胱結石になると膀胱刺激症状だけになり激しい痛みはなくなります。
膀胱結石が尿道で詰まってしまって尿道結石になってしまうと、おしっこをしたくても石にせき止められて出なくなってしまいます。
石が尿道の表面と擦れるため出血を起こすので全ての結石において血尿の症状が出ます。
3・尿路結石になる原因
遺伝
遺伝的にご両親が尿路結石をしたことがあるとお子さんもなりやすいです。
高血圧・糖尿病・高脂血症
尿路結石は生活習慣病の一つだと言われているので、高血圧、糖尿病、高脂血症(脂質異常症)になりやすい方は尿管結石になりやすいです。
水分不足
腎臓で作られる尿が濃くなってしまうと結石ができやすくなります。
例えば、砂糖水を作るとき水分が少ないと砂糖が溶けきらずにビーカーに残ってしまいますが、水分を多くすると綺麗に溶けますよね、その原理と同じで、結石も尿が沢山作られると結石の成分が薄まって作られず、水分が少ないと尿の量も減り、濃度が高くなって結石ができてくるというわけです。
4・尿路結石の検査
尿検査
尿路結石があると尿の中に赤血球や白血球が出てきます。
採血検査
採血検査では腎臓の機能の低下を確認します。
腎臓で石が作られて尿管が詰まった場合、おしっこが落ちてこれなくなり、腎盂が風船のように腫れてきます。
圧が高まって尿が作られなくなると、腎臓がもうおしっこを作らなくていいんだと判断し、腎臓の機能が低下していきます。
レントゲン検査
レントゲンでお腹にある石を映し出します。
ただしレントゲンでは映らないケースも多くあるので、他の検査と組み合わせて検査していきます。
超音波検査
超音波検査では腎臓の腫れを確認できます。
腫れた箇所から石の位置を推測していきます。
超音波検査は体に優しい検査です。
CT検査
筒状の機械に入って体を輪切りにした状態で見ることができます。
被曝するので多少の害はありますが、結石の正確な位置を確認できます。
5・尿路結石の治療
保存的治療
水分を沢山とって、運動をして尿管を動かし自力で排石を促すのが保存的治療です。
10㎜以下の石に適用されます。
10㎜以上の石になると尿管の太さにもよりますが、自然排石は難しいと判断されるため泌尿器科の専門医と相談しながら治療を進めていくことになります。
体外衝撃波(ESWL)
体外衝撃波(ESWL)は腰から衝撃波を与えて結石を砕いていく治療法です。
レントゲンで映った石をレーザーで当てていきます。
石が排石される効果、治療奏功率が8割から9割と高い治療法になります。
砕かれて小さくなった石は自然排石を待ちます。
リスクとして衝撃波は皮膚に衝撃を与えるため皮膚が内出血したり、腎臓や尿管が傷つき出血することがあります。
体外衝撃波はメスなどを使った大掛かりな手術ではないので比較的ハードルが低い治療法だと思います。
経尿道的尿管結石破砕術
経尿道的尿管結石破砕術は治療奏功率が一番高い治療法です。
尿道から膀胱、尿管にカメラを通して直接石を見ながらレーザーで砕いていきます。
こちらの動画もチャンネルにありますので、よろしければご覧ください。
砕いた石を取り出すこともあれば、自然排石をすることもあります。
治療のリスクとしては尿管や尿道をレーザーで傷つけてしまうことや、結石を取り出すときに尿管が傷ついてしまうことです。
傷ついた尿管が狭くなってしまうこともあり、せっかく石は取れたのにおしっこが出てこれなくなるということもあります。
また外からカメラを入れるので感染症のリスクもあります。
6・尿路結石治療のアドバイス
まずは保存的治療をして様子を見ます。
しばらく様子を見ても石に変化がなければ、石の位置や腎臓の機能などを考慮し体外衝撃波か、内視鏡的治療かの選択になってきます。
実際には両方の治療ができる病院は多くなく、どちらかできる治療法しか選択できないことがあります。
一番良いのは両方の治療法ができる病院に行くことですが、私のクリニックのように保存的治療しかできなくとも、患者さんの状態を見て適した治療を提案してくれて、紹介してくれるところがいいと思います。
7・尿路結石を予防するには
水分をとる
一日2リットル、難しい場合は1.5リットルくらいの水分をとって適度な運動を心がけましょう。
生活習慣病に気をつける
尿路結石は生活習慣病とも言われています。
高血圧、糖尿病、高脂血症にならないように、塩分やカロリーの過剰摂取も気をつけましょう。
シュウ酸の取りすぎに注意
尿路結石の1番の原因となる石はシュウ酸カルシウムです。
シュウ酸はほうれん草、キャベツ、コーヒーなどに多く含まれています。
尿酸値を上げない
尿酸値が高いのを放置しておくと痛風になります。
痛風は、足指先に風が吹くだけでも痛みが走ると言われるほどの強烈な痛みを伴います。
痛風の原因は尿酸結晶です。
尿酸が高くなると腎臓にも尿酸結晶ができます。
尿酸はビールやお肉、魚卵などに多く含まれるプリン体が原因ですので取りすぎないようにしましょう。
まとめ
尿路結石の予防には水分を沢山とりましょう!
尿路結石の痛みは「痛みの王様」と言われ何をしても治らない痛みが片方の腰や脇腹におこります。
その痛みは24時間続きません。
尿路結石の治療法には保存的治療・体外衝撃波・内視鏡的治療があります。
日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医、消化器内視鏡学会所属
名古屋大学出身
年間30000人以上の外来診察を行なう。
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。
再生医療のクリニックも運営