メニュー

アビガンの新型コロナウイルスに対する有効性について

[2020.06.03]

当院でPCR検査を行っております
基本的に無症状の方が対象です
自費診療になります→詳しくはこちら

皆さんこんにちは。

2020年も6月に入りましたがいかがお過ごしでしょうか。緊急事態宣言も解除され人通りも徐々に大宮の駅に戻ってきていると思います。しかし今後も新型コロナウイルスの第二波が予想されます。経済活動も再開しつつ新型コロナウイルスとの新しい共生の道をこれから皆さんと探していければと思います。それに先立って新型コロナウイルスの抗体検査を当院でも始めております。詳しくは当院スタッフまでお尋ねください。

さて今回はアビガンについてのお話です。アビガンの中間報告が藤田医科大学を通じて日本感染症学会から発表されました。これは比較試験ではないのではっきりした有効性が示されたと言うデータではありませんが今までにはない大規模な試験です。5月15日に日本感染症学会から発表されましたのでこちらを今回は詳しくわかりやすく解説していきたいと思います。

◆目次◆

1 アビガンとは
 1.1 アビガンはどこの会社が開発したどんなお薬なのか
 1.2 アビガンとファビピラビルの違い
2 藤田医科大学ファビピラビル観察研究事務局が行った今回の試験
 2.1 今回の中間発表の目的
 2.2 どんな患者様がアビガンを使用したのか。
  2.2.1高齢の方が多い
  2.2.2男性が多い
  2.2.3シクレソニドやロピナビルを併用している方が多い
 2.3 アビガンを使った結果
  2.3.1酸素投与を基準に重症度を分けた
  2.3.2それぞれの入院1ヶ月後の死亡率
  2.3.3それぞれの入院1ヶ月後の退院率
  2.3.4アビガン使用の有害事象
 2.4 今回の中間報告から言えること 

 

アビガンとは

アビガンはどこの会社が開発したどんなお薬なのか

アビガンは富士フィルム社が開発したインフルエンザに対するお薬です。インフルエンザは薬に対して耐性が出来て既存の薬が効かなくなってしまうため、未来のインフルエンザの薬として取っておいた薬です。2014年に日本で承認されました。タミフルと比べても有効性が高く、耐性が無い薬とされてます。今回の新型コロナウイルスの流行により早期に表舞台に出ることになりました。アビガンはウイルスの細胞内での増殖を阻止する作用がありインフルエンザ以外のウイルスにも効くと言われております。

アビガンとファビピラビルの違い

アビガンは商品名で、ファビピラビルは一般名です。アビガンは富士フィルム社が付けた商品名であり、アビガンの主成分がファビピラビルということになります。区別が難しいですよね。他の薬剤で言うと、例えばロキソニンは商品名でロキソプロフェンナトリウムが一般名です。要するにアビガンもファビピラビルも同一の薬剤のことを言っているわけです。

 

藤田医科大学ファビピラビル観察研究事務局が行った今回の試験

今回の中間発表の目的

新型コロナウイルスに対してのアビガンの有効性が発表されてきています。明らかな有効性は証明はされていないが、明るい話題として注目を浴びています。そんな中、藤田医科大学がアビガンを使用した日本全国からの症例を集計し中間報告しました。

どんな患者様がアビガンを使用したのか。

407の医療施設からアビガンを投与された合計2158例の患者様のデータです。

高齢の方が多い

60歳以上の患者様が52%を占めておりやはり高齢の方が多いようです。アビガンを使うとなると入院している方ということになるので、重症化した患者様に対して使うということになりますよね。

なので自然と高齢な方が対象になってきます。

男性が多い

男性が67%を占めています。やはり高齢者が多いのと同様に重症化しやすい基礎疾患(糖尿病、心疾患、免疫抑制状態など)を持ってるのは男性が多いのでしょう。

シクレソニドやロピナビルを併用している方が多い

シクレソニド(一般名)はオルベスコという商品名で喘息やアレルギー性鼻炎に対して使われるステロイド剤です。41%の患者様にアビガンと併用して使用されてます。

ロピナビルは抗HIV薬です。3.4%の患者様がアビガンと併用して使用しておりました。抗HIV薬の有効性は新型コロナウイルスが騒がれた当初言われてたことなので、現在も使用している施設があるのは意外ではあります。

アビガンを使った結果

酸素投与を基準に重症度を分けた
  • 酸素投与をしていない方を軽症
  • 自発呼吸で酸素投与している方を中等症
  • 人工呼吸やECMOを使用している方を重症

と分けています。

それぞれの入院1ヶ月後の死亡率
  • 軽症の方は5.1%
  • 中等症の方は12.7%
  • 重症の方は31.7%

重症の方はアビガンを使用してもかなりの確率で亡くなられてますね。

それぞれの入院1ヶ月後の退院率
  • 軽症の方は61.7%
  • 中等症の方は42.7%
  • 重症の方は14.7%

軽症の方でも1ヶ月後に60%しか退院出来てないんです。

アビガン使用の有害事象

15%の患者様に高尿酸血症が出ており、7%の方に肝機能障害が出ています。定期的に採血をして注意深く副作用に注意する必要があります。

今回の中間報告から言えること

今回の中間報告は比較試験ではなく、アビガンを使った症例の報告です。アビガンを使った群と使っていない群で比較したわけではないので、アビガンの有効性はこれだけだとなんとも言えないのが現状です。やはり有効性を示すには比較試験をしてからですね。

このデータからの印象ではアビガンの有効性は際立って目立つものではないかもしれません。ただ、これはまだ中間報告であり今後のアビガンの報告が待たれます。アビガンにしても他の薬剤にしても重症の方の死亡率をもう少し下げるような劇的な治療薬の出現に期待したいですね。

今回は非常にポジティブになれる話題というわけではありませんでしたが、今後もなるべく皆様がポジティブになれるような話題を提供していけたらと思います。

当院では徹底した新型コロナウイルス感染対策をしながら診療を続けております。

2020年4月よりオンライン診療を開始しました。

泌尿器科消化器科内科でお悩みのある方はお気軽にご相談下さい。

今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

消化器科(胃カメラ)・泌尿器科・内科・人間ドック
大宮エヴァグリーンクリニック 院長 伊勢呂哲也

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME